「ジャパンＸボウル（ＪＸＢ）第３０回アメリカンフットボール日本社会人選手権」が１２日午後７時から、東京ドームでキックオフされる。対戦は出場４年連続８度目の富士通フロンティアーズと同３年ぶり１０度目のオービックシーガルズ。過去３度の顔合わせはいずれもオービックが勝利も、１４、１５年は準決勝で富士通に軍配が上がった。歴戦の知将・富士通藤田智ヘッドコーチ（ＨＣ＝４９）と、今季から采配のオービック古庄直樹ＨＣ（３８）との頭脳戦も見逃せない。富士通２年ぶり２度目の優勝か、オービック３年ぶり最多９度目の制覇か、期待は高まるばかりだ。

　春に掲げた目標通り、ここまで全勝で進んできた。オービック古庄ＨＣは「毎週、失敗とチャレンジをしてきたが、太く、たくましくなってきた」とチームの成長に胸を張る。気持ちも体力もアップした。「日常から勝て」と鼓舞。選手はそれに応え、例えば、何も気にせずに食事していたラインは、体に悪いものは食べなくなった。鍼灸（しんきゅう）師、柔道整復師の資格を持ち、選手の治療にも当たる古庄ＨＣは「思いのこもった日常を過ごせている」と、選手の心技体の充実に自信を見せた。

　今季は勝負どころの試合をいずれも逆転で制した。開幕ノジマ相模原戦は、ＱＢニューハイゼルからＷＲ西村のＴＤパスで１４－１３。１０月２３日ＩＢＭ戦は、延長タイブレークの末、２４－２３で競り勝った。そして、準決勝パナソニック戦は、ベテランＱＢ菅原がパスＴＤを決め、９－６でまたも延長タイブレークをモノにした。「今季はリーグ形式が変わり、開幕にピークを持っていこうと夏をしっかり過ごした」と古庄ＨＣ。最初の大きなヤマを越え、修正を繰り返しながら「強いチームになった」という。

　決勝でのポイントはキッキング。好調なＫ星野の活躍が鍵を握るが、「相手にビッグプレーを起こさせず、自分たちのそれにつなげたい」という古庄ＨＣが期待するのはＷＲ木下。「ボールゲームが好きな男なので、毎回狙っているキックオフリターンＴＤを決めてほしい」とベテランの一発を思い描いた。

　◆古庄直樹（こしょう・なおき）１９７８年（昭５３）２月９日、大阪生まれ。関西大倉高ではＲＢ、立命大３年の９９年、ＤＢで大学日本一となる。卒業後はマイカルを経て０１年にオービック入り。０４年ＬＢに転向すると、１３年まで通算９回オールＸに選出された。０７～１４年は主将。１０年からコーチを兼任し、１１～１４年正月にライスボウルを４連覇した。１６年、引退と同時にＨＣに就任した。