フィギュアスケートの浅田真央(26=中京大)が、原点から3度目の五輪を目指す可能性が浮上した。12位だった全日本選手権から一夜明けた26日、大阪市内で取材に応じ、来季への前向きな姿勢を示した。現時点で自力による18年平昌五輪出場には地方予選を勝ち上がり、全日本で優勝することが確実な道のり。最初の予選は17年9月下旬の中部選手権になる見通し。出場すれば中学1年だった03年以来14年ぶりになる。

 試合から一夜明け、浅田は「しばらく休みたいです」と笑って言った。今季初めてショートプログラム(SP)、フリーでトリプルアクセルに挑み、失敗。自己ワーストの12位で、世界選手権出場を逃した。それでも復帰した時に決めた通り、平昌五輪を目指す。笑顔で言った「休みたい」は、やりきった充実感からくる前向きな響きだった。

 バンクーバー、ソチの2大会と違い、日本の五輪出場枠は他の選手に任せるしかない。最大3枠だが1、2枠になれば道はさらに厳しくなる。シーズン主要大会が終了していない今は、浅田が来季どの大会に出場できるかは決まらない。現段階で、自力で五輪切符を取る確実な道は来季全日本選手権で優勝すること。ただし、3位まで与えられるシード権はない。出るために、地方予選にあたる中部選手権、西日本選手権に出場しなければならない場合も考えられる。この日、その可能性を問われると浅田は「終わったばかりで、先のことは分かりません」とだけ答えた。中部選手権はノービスA(ジュニアの下のクラス)時代の03年以来出場していない。世界のトップレベルに10年以上いた浅田にとって、異例の試合日程になるかもしれない。

 GPシリーズを経て、五輪を目指す道があるが、今のところ出場は保証されていない。1年の休養を経て復帰した昨季は、過去10年の世界選手権で6位以内の実績がある選手の復帰には2大会の出場が認められる規定に従い、国際スケート連盟(ISU)から公認された。今回は特例に当てはまらない。出場者は、前年の世界選手権上位者、ISUランキング上位24人、などの規定から選ばれる。浅田は世界ランク21位だが、今季の残る大会で他の選手に抜かれる可能性は高い。

 今季終盤の予定は白紙。先に予定がないまま年越しするのは初めてだが「笑顔で年を越せたらいいです」と話した。心配される膝も「大丈夫です」。全日本の上位選手らが舞う夜のエキシビションを待たず、昼間大阪を離れた。待つのは厳しい道だが、まずは体を休め、再び歩み出す。【高場泉穂】

 ◆平昌五輪の各国出場枠 シングルは男女各30人。うち24枠が、17年世界選手権の結果で各国に振り分けられる。上位2選手の順位を合計して13以下なら最大の3枠、14以上28以下なら2枠、29以上なら1枠が得られる。

 ◆GPシリーズ出場の場合 例年6月ごろ、ISUの会議で出場選手が決まり、GP1戦もしくは2戦に出場する。上位6人はGPファイナルに進む。前年の全日本選手権4位以下の選手は、同選手権に出場するためブロック大会から出場しなければならないが、国際試合の日程と重なる場合は日本連盟の判断により、予選免除される場合がある。

 ◆GPシリーズに出場しない場合 前年の全日本、同ジュニア選手権3位以内はシード選手として翌年の全日本選手権に出場できるが、4位以下は予選から勝ち上がらなければならない。全国6ブロック予選の上位者が東西2大会に進み、上位者(詳細未定)が全日本に進む。名古屋の中京大に所属する浅田の場合、中部選手権、西日本選手権を経て、全日本選手権出場を目指す。