個人総合首位に立つ高梨沙羅(20=クラレ)が、2回合計217・4点で4位に終わり、16年2月14日のリュブノ大会(スロベニア)の4位以来11戦ぶり、今季初めて表彰台を逃した。1回目に93メートルで4位。2回目も89メートルと飛距離が伸ばせず、節目の50勝はお預けとなった。20、21日の蔵王大会(山形)2連戦で巻き返しに挑む。

 「定位置」に女王の姿はなかった。高梨は4位にとどまり、今季初めて表彰台を逃した。2回目にK点(90メートル)手前で落下すると会場に響いた高梨コールがため息に変わった。札幌2戦で2位、4位。国内4連戦4勝で同競技で男女を通じて最多53勝のシュリーレンツァウアー(オーストリア)に並ぶつもりだったが日本での達成は消えた。2戦連続で優勝に届かず「悪いジャンプが試合で出てしまった。直さなきゃいけない部分は多い」と声を絞り出した。

 1回目に93メートルで4位と出遅れた2回目。緩い向かい風が吹いていたとはいえ、飛び出しでいつものような力強さが影を潜め、89メートルで落下。16年2月以来11戦ぶりに表彰台を逃すと、静かに会場を後にした。「アプローチ(助走路)のスピードが出ていない。自分のポジションに落とせていない」と振り返った。

 自分自身を取り戻せなかった。連勝した前週末のW杯オーベルストドルフ大会(ドイツ)は、ノーマルヒル(NH)よりも大きいラージヒルで行われた。そこから日本に帰国し、再びNHで調整したが、助走路の姿勢でズレが生じ、飛距離が伸び悩んだ。前日、全日本スキー連盟の山田いずみコーチも「体重がほんの少し後ろになって飛び出しでスムーズさを欠いている」と話し、改善に努めたが、地元開催の重圧も重なり、間に合わなかった。

 舞台を山形・蔵王に移す。「何本か許せる範囲のジャンプは出ている。安定させられるように、しっかり立て直していきたい」。女王はリベンジに燃えている。

【松末守司】