W杯参戦通算3季目の男子の四方元幾(23=愛知工大)が自己最高の8位に食い込んだ。予選は5位通過で、エアは全選手中トップを記録。上位6人による決勝2回目には進めなかったが、食が細かったガリガリ男が体重増で覚醒した。今日19日のW杯第9戦の非五輪種目のデュアルモーグルで、逆転での3月の世界選手権(スペイン・シエラネバダ)代表入りを目指す。

 空高く舞った。四方は予選第1エアから3回転の大技コーク1080を決めた。予選のエアの15・8点は全49人中トップ。小4から体操で培った空中感覚や跳躍力を発揮し、決勝1回目に進んだ。8位でW杯自己最高順位を更新し「手応えをつかんだ」と喜んだ。

 もともと「1人前を食べたら、胃もたれしていた」と苦笑いするほど食が細かった。W杯に初参戦した3季前は体重54キロ。一流選手のフィジカルを目の当たりにして驚いた。W杯に出場できなかった2季前の秋に医師に胃腸薬を処方してもらった。「1人前を食べられるようになった。食べた後、運動できるようになった」と笑う。体重は約1年半で57キロまで増え、W杯24大会目で初の1桁順位となった。

 食事とトレーニングで体幹が強くなった。硬くて扱いが難しいスピードが出るスキー板を操れるようになった。11日のW杯平昌大会から新しい板に替え、速さが増した。公式練習で動画撮影した父英城さんが「あれ外国人選手だよな」と撮り逃すほど見違えた。

 世界選手権には今日19日W杯第9戦までのポイントで上位4人が代表となる。5位に浮上した四方は、14年ソチ五輪代表で4位西の逆転を目指す。【上田悠太】

 ◆四方元幾(しかた・もとき)1993年(平5)11月15日、愛知・犬山市生まれ。父の影響で8歳からモーグルを始める。愛知・誠信高を経て、現在は競技に専念するため愛知工大を休学中。12年世界ジュニア選手権イタリア・バルマレンコ大会6位。16年全日本選手権のデュアルモーグルで優勝。167センチ、57キロ。

 ◆モーグルの世界選手権の代表選考 男女ともに日本の枠は最大4で、今季のW杯での決勝進出者から、W杯ポイント(P)上位4人が選ばれる。男子はP順に遠藤、堀島、原、西、四方と続く。西と四方は23P差。今日19日のデュアルモーグルで仮に四方が8位の場合、西が23位以下なら逆転で四方が切符を獲得する。女子は今季のW杯決勝進出者が伊藤みき、だけ。他の選手は代表入りの基準を満たしていない。