水泳界に、またニューヒロインが誕生した。女子400メートル個人メドレーで、大橋悠依(21=東洋大)が4分31秒42の日本新記録で初優勝。7月の世界選手権(ハンガリー)代表に内定した。従来を3秒24も更新した記録は、昨年リオデジャネイロ五輪銅メダル相当タイムだった。3年後の東京五輪では、日本女子として、00年田島寧子の400メートル銀以来の個人メドレーメダルを狙う。

 場内がどよめく。21歳の大橋が独特のゆったりとした泳ぎで、ぐいぐいと後続を突き放す。日本記録を2秒以上も上回って後半に折り返す。最後の自由形も勢いは止まらない。従来の記録を3秒24も更新した4分31秒42の日本新記録。リオ五輪代表だった清水、高橋を撃破するどころか、同五輪の銅メダルを超えるタイムで、初の日本一、初の世界切符を得た。

 「水をとらえる素質がある」と平井コーチに見いだされ東洋大に入学。強さの秘密はキックだ。通常は脚の表側を使うダウンキックが主流だが、背面を使って蹴り上げるアップキックで泳ぐ。金メダル23個のフェルプスも得意にした武器に、筋トレで強化した上半身のパワーが加わり、飛躍的な記録短縮につなげた。