田知本姉妹が勝利の女神!? ALSOKが3人制で争う男子1部決勝で、昨年の覇者の日本中央競馬会を1-1の内容勝ちで下し、8年ぶり3度目の優勝を果たした。

 接戦をモノにした。先鋒(せんぽう)が引き分けに終わり、中堅の井上貴裕(24)が意地を見せた。2分過ぎ。大外刈りで技ありを奪って押さえ込み、合わせ技一本を決めた。大将の鈴木誉広(24)は指導2をもらって僅差で敗れたが、内容勝ちで優勝を決めた。主将の熊代佑輔(28)は「チーム一丸となって勝てたことは本当にうれしい。誰と対戦しても良いように各自が準備していた結果だと思う。全日本選手権(29日、日本武道館)の予選で負けた3人の意地を少しは見せることが出来た」と満足げに語った。

 ALSOKの練習拠点はなく、選手は各自で母校の大学などで稽古する。選手が顔を合わすのも週1日程度だが、密にコミュニケーションを図って、稽古に取り組んできた。

 この日は同社に所属する、リオデジャネイロ五輪女子70キロ級金メダルで休養中の田知本遥(26)と78キロ超級の愛(28)が初めて応援に駆け付けた。遥は「姉と冗談半分で『私たちは勝利の女神だね』と言っていました」と満面の笑みを見せた。2人は4月、筑波大大学院人間総合研究科に入学した。観客席では合間を見て、文献を熟読したり、課題をこなす“学生”としての姿も見られた。

 6月3、4日には全日本事業団体対抗大会(富山・射水市)が行われる。小橋秀規監督は「今日の勝利は次の全日本団体の良いステップになったと思う。選手の状態や雰囲気も良く、6月が楽しみです」。射水市は田知本姉妹の故郷でもある。2人が再び、応援に駆け付ければ、勝利の女神になるかもしれない。【峯岸佑樹】