【ブダペスト=益田一弘】シンクロナイズドスイミングのデュエットFR予選で、乾友紀子(26)中牧佳南(25=ともに井村シンクロク)組が、世界大会デビューで92・6000点の4位につけた。息のあった演技を披露し、3位ウクライナのペアにわずか0・2333点差の“逆転圏内”とした。今日20日の決勝では、デュエットTRで逃したメダルの獲得を狙う。

 期待の大型デュエットが、世界デビューで“逆転メダル圏内”につけた。身長170センチのエース乾、同168センチの中牧が、ブダペストを沸かせた。足の形までそっくりで「双子のようにみえる。パッと間違う時もあるほど」と井村ヘッドコーチ(HC)が言うペアが、大きなミスなく泳ぎ切った。中牧は「曲をよく聞いて、泳ぎ分けることを意識した」と控えめに言った。

 井村HCは「今までの中で一番いい出来。中牧は方向違いの泳ぎをすることがあって心配してたが、曲の通りにはまってくれた。中牧さん、ありがとう! 心臓に悪すぎる」と苦笑い。この日午前にチームTRで銅メダルを獲得。嫌な流れを止めて仕切り直した。

 エース乾、中牧はともに「増量組」だ。シンクロは練習1回で体重が約1キロ落ちることもある。体重が減れば、水中での浮力が変化したり、そろえた足に隙間ができたり、と演技に影響する。体重が減りやすい2人は「味の素」のサポートを受けて増量組としてご飯を詰め込む。その量は毎日なんと白米1・8キロ(茶わん12杯)。食堂で移動のバスでもぐもぐもぐだ。井村HCは「スタッフが動ける体を維持するためにコンディションを作ってくれることも大きい」と感謝した。

 今日20日の決勝はTR4位だった中村の無念も晴らす構えだ。「TRでいい演技をしてくださった。私は泳いでないですが、悔しい気持ちだった」と中牧。先輩の敵討ちに期待した。