男子テニスで世界ランキング9位の錦織圭(27=日清食品)が、右手首の腱(けん)を痛めたため、28日開幕の4大大会最終戦全米オープン(ニューヨーク)を含む今季の残り大会すべてを欠場すると16日、マネジメント会社が発表した。

 テニスの男子ツアーが、とんでもないことになっている。元世界王者で5位のジョコビッチ(セルビア)が右肘のけがで、4大大会3度優勝の4位バブリンカ(スイス)も左膝のけがで、今季残り試合を欠場すると発表したばかり。そこに錦織が加わった。トップ10から3人がすでに今季を終了した。

 加えて世界1位マリー(英国)はでん部の故障で、同6位チリッチ(クロアチア)は内転筋を痛め、7月のウィンブルドン後、大会に出場していない。ともに全米欠場は表明していないが微妙な状況だ。今週開催中の大会はこれらの5人に加え、フェデラー(スイス)ラオニッチ(カナダ)も欠場し、4大大会に次ぐ格付けのマスターズ大会であるにもかかわらずトップ10からの出場はわずか3人となった。

 けがが多発する理由の1つに、過密日程があるとされる。前年末のトップ30は、翌年マスターズ8大会とその下の500レベルの4大会、資格を得ればATPツアー・ファイナルの計13大会に出場義務がある。これに4大大会が加わり、選手によっては、国別対抗戦のデビス杯もある。

 トップ30は客を呼べる選手として、世界のテニス界を背負う責任があり、欠場すると世界ランクのポイント0点が合計点に強制加算される。世界ランクを維持するためには、出場し続けることになり、また勝てば勝つほど試合数は多くなる。昨年活躍したマリー、ジョコビッチ、錦織らは軒並み今年はけがに泣いた。昨年、後半戦をけがで欠場したフェデラーとナダルは、休養十分で、今年復活を果たしている。

 ただ、大会は選手がいなければ成立しない。名前のある選手が出なければ客は来ず、スポンサーはつかない。それで大会がなくなれば、今度は選手がプレーの場を失い、ツアーは成り立たない。プロツアーは相互の関係の中で成立している。【テニス担当・吉松忠弘】