女子の平昌(ピョンチャン)五輪代表LS北見が“ランク最下位”からの下克上を狙う。A組初戦で今年世界選手権銀メダルのロシアチームに4-6で惜敗。第2エンド(E)に3点を奪われたが、スキップ藤沢五月(26)のスーパーショットで必死に食らいついた。平昌五輪を前に世界の強豪が集う「前哨戦」で手応えをつかむ。2戦目はチーム軽井沢に5-3で勝ち、1勝1敗とした。
めげたりしなかった。3-3の第4E。不利な先攻で、大量失点のピンチを迎えた。スキップ藤沢は1投目で相手の石を3個はじき出した。めったに出ないトリプルテークアウト。世界選手権銀のスキップ・シドロワ率いる相手に食い下がった。惜敗したが「もう1度チャンスがあれば、いい試合ができるかなと思う」ときっぱり口にした。
食らいつくことが生き残る道だ。女子は五輪代表クラスが6チーム参加。「五輪前哨戦」といえるが、ワールドツアーランキングでLS北見は最下位の26位。藤沢は「ランクは最下位だけど、いい試合をしたい。チャレンジの場。いろんな強みを学びたい」と言う。
ジュニアで結果を出し、高校卒業時には関係者の間で「ドラフト1位の天才スキップ」と言われた。しかし13年9月、中部電力スキップとしてソチ五輪代表決定戦に出場した。下馬評は有利だったが、北海道銀行に敗れた。涙に暮れた22歳の秋を、こう振り返る。
「あの負けは今思うと、正しい負けだったと思う。メンタルが弱かった」。
試合に負ければ、目に涙を浮かべて「私の責任です」と繰り返した。そんな日々と決別するために15年5月、故郷の北海道・北見市に戻ってLS北見入り。念願の平昌切符を手にした。
藤沢は、16年世界選手権で日本初の銀メダルを獲得している。それでも「2年前は遠い過去のこと。少なくとも今年の世界選手権に私たちは出ていない。私たちは成長を止めちゃいけない」。平昌五輪で輝くために、ランク最下位から強豪に挑戦する。【益田一弘】
◆藤沢五月(ふじさわ・さつき)1991年5月24日、北海道北見市生まれ。5歳で競技を始める。世界ジュニア選手権は08年7位、09年10位。09年中部電力に入社し日本選手権4連覇。15年5月にLS北見入り。16年世界選手権銀メダル。愛称は「さっちゃん」。身長156センチ。