全米覇者、世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)に初出場の洗礼だ。17年全米覇者で、同6位のスローン・スティーブンス(米国)に5-7、6-4、1-6のフルセットで敗れ、苦い敗戦でのスタートとなった。次戦は24日の予定だ。

新旧の全米女王対決は、壮絶なバトルになった。2時間25分の熱戦は、スティーブンスに軍配が上がった。ともに最終戦は初出場。緊張からか、動きが硬く、ミスを連発。しかし、途中からミスを減らすために打つのを止めた相手に対し、大坂は攻守の歯車が狂い、最後は完全に力尽きた。

すべては第1セットだった。第1ゲームで自分のサービスゲームを落としたが、すぐにブレークバック。ダブルフォールトを連発し、気持ちが引く相手に、襲いかかった。流れは間違いなく終盤は大坂に傾いた。それでも、軽率なミスがあり、奪えなかった。

大坂は、第1セットを取れば、16年10月の天津オープンを最後に、2年間負けなしだった。つまり、第1セットを落としたことで、先手必勝のパターンが崩れたわけだ。第2セットを奪って、何とか挽回を試みた。それでも後手に回った流れは変わらなかった。

これが経験の差か。全米以降、スティーブンスは4大会に出場し3大会が初戦敗退。大坂は、準優勝にベスト4と、勢いは大坂にあった。しかし、生涯ツアー本戦試合数294試合目の大坂に対し、スティーブンスは442試合目。ともに初出場ながら、大舞台の経験の差は大きかった。

しかし、まだ1敗だ。ケルバー(ドイツ)、ベルテンス(オランダ)に連勝できれば2勝1敗。もし、対戦成績1勝3敗のケルバーに敗れても、ランク下で対戦成績1勝0敗とリードするベルテンスに勝てれば1勝2敗。総当たり戦が始まった03年以降、1勝しか挙げずに1次リーグを突破できたのは8人もいる。バイン・コーチも「この試合がだめでも、次の試合があるんだから焦らなくていい」と、大坂にアドバイスを送った。これからが正念場だ。【吉松忠弘】

▼大坂なおみ 安定性が相手とは違った。自分は第3セットでミスが多くなった。それをやってはいけなかったし、彼女(スティーブンス)は勝利にふさわしかった。厳しい戦いだった。