世界ランク9位の錦織圭(29=日清食品)が相手の棄権で1回戦を突破した。同176位のカミル・マイクシャク(23=ポーランド)との対戦はフルセットに持ち込まれたが、そこで相手が棄権。2回戦進出が決まった。

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錦織の戦術が完全コピーされていた。彼のテニスを支えているのは世界最高レベルのバックハンド。クロスの打ち合いから絶妙なタイミングでストレートへ打ち抜くスタイルだ。これをマイクシャクにやられてしまった。しかも、クロスで押し込んでいるのに、自分が仕掛けるよりも早いタイミングでストレートに切り返されてポイントを失う場面が目立った。

それだけではない。ドロップショットのタイミングや第2サーブを思い切りたたくプレーまでそっくりだった。欧米のパワーテニスに対抗する錦織の正確な技術と戦術が世界に評価され、研究され、学ばれている証しでもある。

男子テニスのレベルアップはすさまじい。トップと下位の実力差は急速に詰まりつつある。錦織は“自分のテニス”に苦戦した。それがさらなる進化を目指すきっかけになれば、とも思う。(亜大教授、テニス部総監督 堀内昌一)