20年東京オリンピック(五輪)の女子マラソンまでちょうど1年となった2日、東京都内のコースコンディションを5キロごとに独自測定した。スタートとなる午前6時の新国立競技場付近は気温30・4度(数字は日刊スポーツ調べ)。フィニッシュ時間帯となる午前8時半ごろ、気温は35・7度まで上昇した。日本陸連と連携を図っている気象予報会社ウェザーニューズもコースの日陰などを調査。まさに灼熱(しゃくねつ)の戦いとなるが、地の利を生かし、少しでも有利にレースを進めていく。

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東京五輪本番コースを温度、湿度計を持って自動車で移動しながらコースをチェックした。2時間30分ペースを目指すも、交通渋滞もあり、予定より少しペースが遅れたのはご容赦を…。

朝6時の新国立競技場。セミの鳴き声が響き、差し込む朝日はさわやか。だが、暑さはもう厳しい。いきなり気温は30度を上回る。

スタート 新国立競技場(午前6時)気温30・4度、湿度75%

5キロ 靖国通り新見附橋(6時17分)31・3度、72%

10キロ 日本橋(6時38分)31・7度、71%

15キロ 浅草雷門(6時56分)32・2度、70%

通勤、通学する人の姿、車通りも増えてくる午前7時台に入ると、さらに暑さは増す。日差しが強いポイントでは、とうとう35度を超えた。

20キロ 日本橋高島屋(7時15分)31・9度、70%

25キロ 芝郵便局(7時34分)32・2度、69%

30キロ 神田須田町(7時52分)35・6度、61%

コースは37キロすぎから勝負の上り。同じようにコンディションも正念場だ。

35キロ 神保町交差点(8時7分)34・6度、61%

40キロ 富久町交差点(8時26分)34・8度、62%

フィニッシュ 新国立競技場付近(8時30分)35・7度、57%

時を同じく、ウェザーニューズもデータを測定していた。スポーツ気象チームのリーダーで、日本陸連の科学委員会のメンバーでもある浅田佳津雄さん(43)は「薄雲がかかっていた。日陰が多かった」。この日も十分暑かったが、1年後はもっと気温が高く、日差しも強くなる可能性があるという。

とはいえ地の利で得られるデータは、大きな武器にもなる。猛暑の中では、日陰を走り体力の消耗を抑えることも大切。ウェザーニューズはコースの日陰も場所も調べていた。浅田さんは「行き当たり、ばったりで日陰を探すのではなく、あらかじめ知ってスタートすれば、思考を働かせるエネルギーが必要なくなる」と話す。5メートルごとの気温、湿度、暑さ指数、風向、風速の予想も出して、選手の暑熱対策やレースの戦略につなげていくという。【上田悠太】

◆東京五輪のマラソン 女子は8月2日、男子は同9日。ともに午前6時スタート。コースは新国立競技場を出発し、東京ドーム、日本橋、雷門、銀座、東京タワー、皇居外苑など主要な都心の観光名所を巡り、再び新国立競技場に戻る。