東北地方のスポーツ界が東日本大震災から復興する道のりは険しい。プロ野球の楽天やサッカーの仙台は本拠地で29日に試合を始めるが、多くのスポーツでは資金と施設の面で問題が大きく、先行きが見えない。

 バスケットボール男子のbjリーグの仙台は今季の活動を打ち切った。残り8試合で見込んでいた数千万円の収入が消え、資金繰りの悪化で全選手との契約を解除した。リーグの救済制度で大半の選手は他チームでのプレーが決まったものの、5月のリーグの審査に向けて財政基盤の確立を迫られている。

 スポンサーも打撃を受け、チーム広報担当は「減額してもいいから何とか支援してもらえるよう、模索している」と苦しい状況を説明した。

 競技場の多くは使える状況にない。施設そのものが損傷した事例に加えて、公共の競技場や体育館が避難所や遺体安置所となった。自衛隊などの前線基地や、仮設住宅用地になった場所もある。

 宮城県体協によると、8月に宮城県で開催予定の山口国体東北ブロック大会は、38競技のうち実施のめどが立った会場は10競技分にも満たない。佐藤幸也事業推進係長(47)は「東北から国体代表を送れなくなる。県外に代替会場を探しているが、見つかったとしても予算の問題が出てくる」と悩ましげだ。

 夏の全国高校総体は青森、岩手、宮城、秋田の4県で開催される。セーリング会場の岩手県宮古市のヨットハーバーは壊滅的な被害を受けた。全国高体連は「情報を集めている段階。代替地で開催するかなど今後方向性が出る」(同事務局)と対応に追われている。