柔道家としての栄光をほしいままにした金メダリストは、実刑の宣告に、青白くなった顔を両手で覆い隠し、がっくりうなだれた。内柴正人被告(34)に懲役5年を言い渡した1日の東京地裁判決。「控訴させてもらいます」。閉廷間際、裁判長に向かってふてくされたように言い放った。

 これまでの公判で「無罪を強く確信した」と述べていた内柴被告。白いシャツに黒いセーターを着て入廷すると、唇をかんで軽く拳を握り、緊張した面持ちで被告席に立った。

 主文が言い渡されると、裁判長に促されて椅子を引き、どすん、と腰を落とした。そのまま5分ほど拝むようなポーズでじっと顔に手を当て、目をつぶった。

 公判では、被告と女子部員の言い分が真っ向から対立。内柴被告は未成年の女子部員と飲酒し、被害者とは別の部員とも関係を持ったことなど、自分に不利な内容も赤裸々に話し、無罪を訴え続けた。

 昨年11月から始まった被告人質問では「俺から柔道を取ったら何も残らない。死んでわびようと思った」と涙声で事件後の心境を語った。

 この日の判決は、被告の弁解を「明らかなうそ」「供述は全く信用できない」とことごとく退け、厳しく非難した。

 約30分にわたる判決理由朗読の間、内柴被告は肩で小さく息をし、うつむいたまま。閉廷前に控訴手続きについて説明する裁判長の声をさえぎり「(控訴)させてもらいます」と言って、法廷を後にした。