<女子テニス:カンガルー杯国際オープン>◇27日◇岐阜・長良川テニスプラザ

 約12年ぶりに現役復帰したクルム伊達公子(37=フリー)が、苦しみながらも復帰戦を飾った。地元の女子高生・田島杏奈(17=県岐阜商)とシングルス予選1回戦対戦。第1セットをタイブレークの末に奪われたものの、得意のライジングショットも復活させて、2-1で逆転勝ち。96年11月19日のチェース選手権セレシュ戦以来、4177日ぶりのシングルス公式戦勝利となった。伊達は今日28日、予選準決勝に出場する。

 逆境をはね返す粘りのテニスは全盛期と変わらなかった。元世界ランク4位のクルム伊達が、日本ランク261位の女子高生・田島に逆転勝ちした。「負けてもおかしくなかった」と苦笑いだったが、4177日ぶりのシングルス公式戦を白星で飾った。

 約2000人で埋まったセンターコート。田島の力強いサーブに苦しみ、第1セットはタイブレークの末に落とした。しかし、第2セットの第4ゲームで初めてブレーク。得意のライジングショットも随所で披露し、20歳下の田島からペースを奪った。「11年前の自分ではなく新たな立場でやるんだと自分に言い聞かせた。うまく気持ちを切り替えられた」。

 今月7日に現役復帰を表明した。昨年9月から週6回、1日2時間の練習が実り、3月のエキシビションでかつての女王ナブラチロワ、グラフを連破。復帰を決意した。引退後に結婚した夫のミハエルさん(38)からは「1度でいいからプロとしてプレーしているところが見たい」と懇願されていた事情もあった。

 日本女子テニス界を活性化させることも復帰理由の1つ。今大会は16歳の奈良とダブルスにも出場する。「もっと高い目標を持ってほしい。私が練習台にもなる」。“戦う教材”となって技術と経験を伝えていく。【西尾雅治】