ロンドンへ「闘うスイマー」が誕生した。競泳男子200メートルの世界選手権銀メダリスト松田丈志(27=コスモス薬品)が、本格的なボクシングトレで「打倒・フェルプス」に照準を合わせた。代表合宿が13日に都内で行われ、松田が怪物退治へ新たな策を導入。それはボクシングだった。昨年10月、世界選手権5冠のロクテに3週間の弟子入り。「トップとは技術の差と思っていたが、その前にフィジカルの差があった」(松田)と実感。帰国後、興味を持っていた拳闘の門をたたいた。

 ナショナルトレーニングセンターのボクシング場に週2回通い、専門コーチの指導のもとでフットワークからミット打ちまで、自由形の日原と一緒に取り組んでいる。久世コーチは「熱中するタイプなので、本当に殴り合うんじゃないかと心配」と苦笑い。当の松田は「パンチを打つことで肩甲骨周りがよく利き、泳ぎの水をつかむ感覚がよくなった」と笑みがこぼれる。時間があれば、ネット動画でボクシングの試合もチェックするほどの熱の入りよう。お気に入りは辰吉対薬師寺、畑山対坂本戦だ。

 元日は故郷・延岡の「原点」ビニールハウスプールで6キロを泳ぎ、五輪イヤーへの誓いを立てた。「世界を驚かせる。日本人がフェルプスより先にゴールにタッチすれば世界に衝撃が走る」。本番まで200日を切り、闘う男は勝負モードに入った。【佐藤隆志】