八百長問題で揺れる大相撲の有志7力士が25日、東京・台東区のホテルで臨時会合を開いた。国技館を利用した合同公開稽古の案も浮上した。14人の力士らに八百長疑惑が残るため、実現には困難が山積だが、前向きに意見を交換した。角界の危機に直面し、ファンのためを思って、力士も頭を悩ませている。

 午後2時すぎから、力士がタクシーなどで次々と集まった。全関取による力士会でなく、横綱白鵬(25=宮城野)、大関魁皇(38=友綱)ら代表7人が、一室に集結した。約1時間、相撲界を思って、意見を出し合った。現役力士だけが声を掛け合って会議を開くのは極めて異例。非常事態を乗り越えていこうという決意が、力士を動かした。

 ある力士からは「国技館の土俵で、お客さんに稽古を見せたらどうか」という意見が出た。もともと春場所中は、全力士が大阪入りしている予定だったため、空いている日にちは限られる。「教習所でやったらどうか」との代案も出たが「ファンに見せなくては意味がない」との指摘もあった。

 何より、14人の力士に八百長疑惑が浮上しており、この解決なくして先には進めない。14人を除外して稽古を見せるわけにもいかない。さらに、協会から推奨されているボランティアの予定なども入り、今からでは全力士がそろいにくい。「4月にも何とかならないか」と開催を熱望する力士もいるが、協会に要望するほどの結論は出なかった。

 一方、老人ホームや幼稚園の慰問など、依頼があったものは積極的に引き受けることで、意見は一致した。「7人では何かを決められない。でも、今日は勉強会にもなった」と話す力士もいた。誰もが不安を抱く中、近況を報告し合うだけでも心の支えになったようだ。

 早ければ、夏場所(5月8日初日、両国国技館)からの再開が望まれるが、先の見えない稽古は続く。自主的に集まったこと自体に、大きな意味がある。問題解決は協会主導だが、力士たちも必死の思いで毎日を過ごしている。