中日サイドから見ると、なんとか同一カード3連敗を免れたという試合だが、今後の戦いに向け、楽しみな兆しが見えた。

1日に育成選手から昇格したA・マルティネスだ。今試合で「8番・捕手」で初スタメン出場し、4打数3安打。打つだけでなく、先発・梅津のフォークを何度もショートバウンドでキャッチしたように、ハンドリングもまずまず。日本では珍しい外国人捕手ではあるが、正捕手を目指せるだけの片りんは見せていた。

この試合でマークした3本のヒットの内容は、合格点を与えられる。第1打席、カウント1ストライクからの真っすぐに、やや差し込まれながら押し込んで左前安打。3打席目はカウント2-2からフォークにやや泳ぎながらもフルスイングして左前安打。4打席目は沢村の153キロの真っすぐに力負けせずに三遊間をゴロで破った。タイミングが合わなかったときにでも力強いスイングができるのは、強打者の条件。その資質を持っている。

8回、先頭打者でヒットを打ち、代走を出されて交代したが、とても残念だった。インサイドワークなど、まだ捕手としての能力は未知数な部分がある。しかし、僅差の試合で8回と9回をどうリードしていくかを見てみたかった。中日は投手力を主体にしたディフェンスのチーム。内外野の守備力もいいが、一番重要な捕手陣だけが大きな不安だった。その穴をA・マルティネスが埋められれば、Aクラスはもちろん、上位争いをできる力があると思っている。

簡単な日本語はしゃべれるらしいが、捕手は投手とのコミュニケーションや細かなベンチの指示をどれだけ中継できるかは分からない。それだけにこういった試合で経験させ、能力を見極めたかった。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 6回表中日2死、A・マルティネスは左前打を放つ(撮影・滝沢徹郎)
巨人対中日 6回表中日2死、A・マルティネスは左前打を放つ(撮影・滝沢徹郎)