日本ハム・マルティネスを含め、有原ら苦しんでいるローテ投手全体に言えることだが、最初に「全部を出し切ってしまう」ことが、今季、中盤から終盤につかまる要因になっていると感じている。

マルティネスは内野ゴロで順調にアウトを重ね、5回まで2安打無失点。だがストレートの割合が少ないことが気になる。カットボール、カーブ、チェンジアップの持ち球を使い、ある意味で“楽に”抑えにいっていることが、中盤以降、変化球が甘く入り痛打を食らうことにつながる。序盤のまだ自分の体力があるうちに、相手打者にストレートの意識付けをしておけば、この日のように畳み掛けられるようなやられ方はしない。楽をせず、頑張って直球を投げておくこと。それが中盤以降、変化球の失投を助けてくれるし、長いイニングを投げるポイントになる。

打線は毎回チャンスをつくりながら点を取れなかったのが逆転負けにつながったが、その中でも横尾の打席内でのアプローチの仕方を評価したい。前日4日に10与四球の西武バッテリーは、同じ過ちを犯さないように、ストレート中心でどんどんストライクを取りに来ていた。前の打者までの配球を見ていた7番横尾は、2回1死二塁、ファーストストライクから直球に合わせ、先制打を放った。平井から右前打した6回は、外角スライダーが多くなる中、しっかり左腰の壁をつくって我慢し、バットを合わせた。サイドスロー右腕に対して、いい対応だった。

右飛に倒れた8回も「<1>3点差<2>下位打線<3>相手投手・ギャレット」という状況から、9割方ストレート勝負になる状況。そこでしっかりと直球に合わせて初球から対応できていた。置かれた状況別にアプローチできたことが、結果につながった。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)