日本ハムのドラフト1位伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)が2月28日、沖縄・名護での広島戦で実戦2度目のマウンドに上がった。松山に2ランを献上するなど4回5安打3失点も、試合後は手応えを口にした。日刊スポーツ評論家で侍ジャパン投手コーチの建山義紀氏(45)は、投球の幅の広さ、マウンド度胸を評価し、先発適性に太鼓判を押した。

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日本ハムのドラフト1位伊藤の2度目の登板は、4回5安打3失点。数字だけを見れば苦しんだ投球のように映るが、内容は評価できるものだった。

しっかりと打者に攻め込んでいけるタイプの投手で、この日も内角に投じたストレート、ツーシームはほぼ制球ミスがなかった。捕手が内角を使った組立てを要求しても、それに応えてくれるだろう。初回の広島松山に浴びた2ラン、3回田中広の左中間二塁打は、どちらも打者が得意とするゾーンのボール。新人の伊藤はデータのない中で投げているが、シーズンに入ればそこに投げることはないだろうし、問題視することもないと思う。

またピンチでの立ち回り方にも素質を感じる。3回1死三塁で堂林を迎えても、慌てず、バタつくこともない。落ち着いて外目のカットボールで遊ゴロに打ち取った。侍ジャパン大学代表でストッパー経験もあり、制球を乱して崩れるタイプでもない。走者を背負ったところでも、ルーキーらしからぬ印象を受けた。

栗山監督は先発と救援、2つの選択肢を持ってキャンプインしたようだが、ここまでの過程で先発に絞られた。その選択にはうなずける。ポイントは投球の幅の広さ。2回2死一塁で、野間にはカウント2-1のバッティングカウントでツーシームを投じ、内野ゴロに仕留めた。打者が振ってくる状況の中で、どう打ち取るのかに注目したが、見事にクリアした。

「1人の打者に4球以内」というテーマを持って臨んだと聞いた。結果は打者17人に対し、4球以内で終えたのが13人。早い段階で勝負ができており、野間の打席にも顕著に表れていた。スライダーは大きく曲がり、ツーシームなどは小さな変化で芯を外す。いろいろな投球パターンで組み立てができるのも、先発向きだと感じる。

次回は5イニング、70~80球の球数が目安になっていくだろう。ここから開幕へ向けては、球数への耐性をポイントに見ていきたいと思う。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)

練習試合 日本ハム対広島 2回表、無失点に抑え宇佐見(左)とタッチする伊藤(撮影・黒川智章)
練習試合 日本ハム対広島 2回表、無失点に抑え宇佐見(左)とタッチする伊藤(撮影・黒川智章)