交流戦2試合無失点だった中日裕也投手が、7回途中5失点で2敗目を喫した。打線は2点止まりで、チームは交流戦初の連敗。日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(48)は、打てない中日打線の問題点を厳しく指摘した。

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交流戦に入って好調な中日の功労者といえば、真っ先に柳の名前が挙がってくる。この試合は、柳好投の秘密を紹介したいと思っていたが、6回1/3で5失点。残念な結果になってしまった。それでも調子がいまひとつながら、粘り強い投球は見せていた。その分、歯がゆく感じたのは、相変わらず打てない打線だった。

好調な投手が先発する時に真っ先に考えるのは先取点を取ること。1回、先頭打者の大島がショートへの内野安打で出塁した。しかし、2番堂上は簡単に2ストライクに追い込まれ、そこから一塁走者の大島が盗塁を狙ってアウト。個人的に送りバントは嫌いだし、特に初回の送りバントは嫌いだが、今の中日打線を考えると仕方がない戦術だと感じていたが、あっさりと得点機を逃してしまった。

送りバントをしないのも、盗塁がアウトになったのも結果論だが、内容が悪い。楽天の先発岸はクイックが得意ではない。しかし堂上は初球の内角真っすぐを見逃し、2球目の外角真っすぐをファウル。バントの構えをして揺さぶるわけでもなく、盗塁を警戒して投げてくる真っすぐに狙いを絞っていたわけでもない。さらにいうなら、2ストライクから盗塁をする大島にも問題があるだろう。真っすぐが2球続いたことで、変化球が来ると思ったのかもしれないが、捕手は送球しやすい外角に構えていた。楽々とアウトになるようでは話にならない。

ここで、この試合前までのチーム打撃成績を見てみる。打率2割3分6厘、長打率3割4分4厘、出塁率3割1分6厘はセ・リーグ最下位。この打線で得点を奪うには、機動力を使うことだが、盗塁数も26(リーグ5位)。犠打数は35でセで3位だが、特別多くはない。それなのに、安定感抜群の柳が先発する試合で何の工夫もなし。これでは得点力は上がらない。

さらにガッカリしたのは2回1死満塁からの井領の打席だった。この場面、三振だけはしてはいけない状況で三振。内容も最悪で、初球のチェンジアップを空振りしたあと、2球続いた外角の真っすぐを見逃しての3球三振だった。犠牲フライを狙うなら、打球の上がりやすい逆方向を狙うべきだが、初球の空振りは引っ張りにいったスイング。逆方向を意識していれば2球目と3球目の外角の真っすぐは打ちにいけたはず。クリーンアップを打つ打者であれば細かいことは言わないが、8番打者が好き勝手に打っていては、得点できる確率は上がらない。犠飛数も9でDeNAに並んで最下位。状況に応じた打撃もできていない。

逆にこの攻撃陣で粘り強く投げている柳は大したもの。嫌みに聞こえてしまうだろうが、負けはしたが今シーズンの柳の頑張りがクローズアップされた試合だった。(日刊スポーツ評論家)