リーグ戦再開初戦。雨の甲子園で首位阪神に挑んだ巨人だったが、序盤の大量失点が響き、痛すぎる敗戦を喫した。約2カ月ぶりの3位に転落し、阪神とのゲーム差は8となった。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏が見たゲームのポイント、今後の巨人の戦い方とは?

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交流戦が終わって、いきなり首位阪神とヤクルトと同率ながら2位に踏みとどまっている巨人が対戦した。巨人にとっては巻き返しに向けての再スタートだが、エースの菅野が離脱し、スモークも帰国。苦境の中で、どういう戦いをするのか、注目していた。

そんな中、巨人のスタメンオーダーを見ると、香月を8番でプロ入り初のセカンドでのスタメン起用。明らかに「打ち勝つ野球」で挑んでいた。しかし今の巨人のチーム状況を考えれば、阪神のチーム力は“上”と見ていい。これはあくまでも個人的な見解だが、強いチームに勝つためには「攻撃」よりも「守り」を重視した方がいいと思っている。野球の番狂わせは、ロースコアの方が確率が高いからだ。それほど好調ではなさそうだが、阪神の先発はエースの西勇。ただでさえ乱打戦にはならなそうだし、打ち合いは阪神が有利。巨人が勝機を狙うなら、広い甲子園を優位にして戦える「守りの野球」を重視する方が得策だと考えていた。

あくまでも結果論になるが、3回までに7失点。アッという間に試合は決まってしまった。2回裏無死二塁、サンズの左中間の当たりは、ウィーラーがわずかにキャッチできず先制点になった。梅野の三塁線を破るタイムリー二塁打も、岡本和には捕れないまでも止めてほしい当たりだった。3回無死一、二塁からセンターに抜けそうな当たりをセカンドの香月が横っ跳びでキャッチ。ここからグラブトスをしたが、送球はそれて1つもアウトを取れなかった。

もちろん、どれも責められるようなミスではない。しかしウィーラーはスタメンから外せないが、守り重視の外野手を起用すればキャッチできた。岡本和は守備力に自信があるから、体で止めようとするより、グラブで捕りにいってしまったのだろうが、始めから守り勝つという意識があれば違ったかもしれない。香月もしっかりと右手でトスしていれば1アウトは取れたが、慣れないセカンドの守備を考慮すれば責めるわけにはいかない。

外野では梶谷の復帰が間近で、日本球界に戻った山口の復帰も遠い日ではないだろう。攻撃を重視するのが巨人の野球だろうが、もう少しでも戦力が戻るまでは、守備力を重視した「我慢の野球」が必要な期間だと思う。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 7回表巨人1死一塁、見逃し三振に倒れ首をかしげる岡本和。右は阪神捕手梅野(撮影・足立雅史)
阪神対巨人 7回表巨人1死一塁、見逃し三振に倒れ首をかしげる岡本和。右は阪神捕手梅野(撮影・足立雅史)