阪神は逆転優勝へ崖っぷちの戦いが続きますが、いろんな意味で残り8試合はとても重要です。日本一につながるクライマックスシリーズ(CS)があるからで、17日からの広島2連戦はもちろん、特に大事なのは19日からの首位ヤクルトとの今季最後の2連戦です。奇跡を起こすための戦いと同時に、最短Vの20日に甲子園胴上げを許さないのは当然ですが、CS前哨戦の意味合いも強いからです。

ヤクルトは阪神と決着をつけるべく、先発に絶好調の奥川と高橋を送り込むようです。阪神が苦手とするタイプの2人で、満を持して中10日でぶつける周到さを感じます。実際、ともに今月上旬の神宮で、阪神は奥川に7回途中1失点、高橋に5回1失点と力で圧倒されました。でも今回はやられるわけにはいかない。CSでヤクルトと戦うことを想定すれば、今回も抑えられると再びぶつけられる可能性がある。阪神もすごく嫌なイメージのまま戦わないといけなくなります。

優勝争いの最終コーナーで投打充実のヤクルトとは状況が対照的です。4番大山の死球欠場に加えてエース西勇も離脱し、主力のサンズや佐藤輝らも不調と、ベスト布陣で戦えないのは痛過ぎます。でも、今はやりくりしたメンバーで泥臭く食らいつくしかない。両投手とも手ごわいけど、奥川は四球の少なさを逆手に取れば制球が良いので、初球から積極的に狙って攻めたい。荒れ球も持ち味の高橋はコースか球種に絞って、右方向か逆方向かまで準備して打席に立ちたい。必勝態勢で先発する青柳とガンケルを早く援護してほしい。

結果的にヤクルトに優勝をさらわれても、この2人をたたけば相手も阪神は手ごわいぞとなる。選手たちも自信を持ってCSに臨める。今季の最終目標を日本シリーズとするなら、2人をマウンドから引きずり下ろしての必勝が求められる大事な2連戦になります。

巨人戦は何とか2勝1分けで乗り切りましたが、チーム状態が良いとは言えません。CSファーストステージは11月6日に開幕しますが、それまでの3週間をどう生かして戦力を整備し直すか。CSを勝ち抜くには、大山の復調はもちろん、佐藤輝やサンズらの復活も絶対必要です。今の打線では正直、相手も怖くないはず。相手を怖がらせ、開幕ダッシュを決めたオーダーを再現できるかどうか。残り8試合とその後の調整に、命運がかかっています。