これが首位のチームの強さなのか? それともヤクルトを苦手にする広島の相性なのか? 3回に追いつき、4回に勝ち越したはずの広島だが、ヤクルトの一発攻勢であっさりと逆転負け。広島がヤクルトに勝てない理由が満載した試合だった。

勝てない理由の1番手に、主砲・村上に対しての攻め方が挙げられる。連戦の初戦であり、重要なのが最初の打席になる。村上のような強打者に対し、連戦初戦の第1打席には「内角を攻めるぞ」という意識付けが大事になる。

それが初球に内角のカットが見逃しストライク。2球目が内角のカーブがワンバウンドでボール。そして3球目はやや外めのスライダーをホームラン。内角へは投げているが、どれもホームベース上の球であり、厳しい内角攻めではなかった。

13本目の被本塁打となり、中日と並んで最多タイ。どちらの球団も死球はなし。ぶつければいいというものではないが、攻め方が甘いといわれても仕方がない。第4打席は内角高めのボールゾーンへ真っすぐを投げ込み、空振り三振に打ち取っているが、打たれたから内角を攻めるのでは遅い。第1打席こそ、このような攻めが必要で「内角への意識」を高めておかなければいけない。

攻撃陣も強打のヤクルト打線に打ち勝つ「覚悟」が足りない。3回無死二塁、8番打者の上本は進塁打を狙ったバッティングをし、狙い通りセカンドゴロで走者を進めた。次打者の大瀬良がセンター前にポテンヒットを放って同点に追い付いたが、上本はもっと攻撃的なバッティングをしてほしい。初球から右打ちを狙っていたが、次打者は投手であり、まだ3回の序盤だった。得点圏の走者は自分で返すつもりで、ヒット狙いでよかった。

4回無死一、三塁では、4番の松山が初球のど真ん中のスライダーを逆方向へ犠牲フライを放った。おそらく、最低限の仕事で、犠牲フライの打ちやすい逆方向を狙っていたのだと思う。これが終盤で僅差の試合ならいいが、まだ4回であり、今試合では4番を任されている打者。初球から長打狙いであれば、ホームランにできる球だった。

コツコツと得点を重ねても、狭い神宮球場で相手にしているのは強打のヤクルト打線。せめて序盤や中盤で大量得点を狙えるような場面では、もっと攻撃的なバッティングで挑まなければいけない。最初から「最低限の仕事」を狙っているようでは、打ち勝つ野球はできないし、打撃も向上しない。

これがヤクルト戦で7勝14敗1分けという成績につながっていると思う。2位のDeNAに15勝8敗で、3位の阪神に12勝7敗2分け。ヤクルトの独走を許した要因になっている。(日刊スポーツ評論家)