第5回を迎えるWBCの侍ジャパンのメンバーは、本当にすごい顔ぶれがそろった。第1回と第2回大会は日本人メジャーリーガーも複数参加したけど、今大会は間違いなく歴代の最強メンバー。各国とも、そうそうたるメンバーがそろっているが、日本も優勝を目指せる布陣だと思う。

何よりすごいのが、投手陣のメンバー。メジャーリーガーが参戦しにくいこともあり、ひと昔前だと、どうしてもいい投手を順番にそろえようとすると、先発投手ばかりになりがち。左投手や中継ぎのバランスに偏りができてしまった。

しかし、今大会はとてもバランスがいい。日本球界も分業制が確立し、中継ぎ投手のレベルが格段に上がった。左投手を見ても、これだけのレベルの左腕がそろう国はないと思う。

この投手力があれば、優勝を狙える。3月といえば、まだバッターがスピードに慣れていない時期でもある。投手が有利な時期で、それに加え、準備をしっかりとする日本人の国民性も有利に働くと思う。メジャーでは選手のコンディションがピークを迎えるのは夏場過ぎ。正直、WBCが夏場以降にやるのなら優勝は厳しくなると思うが、春先の戦いなら大きくチャンスが広がると思う。

一方で少し心配なのが野手陣の編成。個人個人を見れば文句の付けどころのないメンバーで、特に攻撃力だけでいえばかなりの破壊力が期待できそう。スタメンメンバーを固定できて「先行逃げ切り」で押し切れればいいのだが、ケガ人が出たり試合展開が劣勢なときにバランス面で不安が残る。

まずショートを守れる選手が源田と中野しかいない。源田の守備力は文句なしだが、中野は今季からセカンドのコンバートが決まっているように、スローイングに難点がある。プレッシャーのかかる試合では不安があるし、源田がケガで出られなかったり、打撃が不調で代打を送らなければいけないような試合展開になると、苦しくなるかもしれない。

もう1点、不安点を挙げるとすれば「DH」をどう考えているかが見えてこない。大谷を野手で生かすなら「DH」の起用がメインになると思うが、外野手の近藤と吉田はできれば「DH」で起用したいタイプ。ヌートバーは守備力があり、走攻守にバランスがよさそうなタイプだが、極度に打撃不振だったり、仕上がっていなければ守備力のある専門の外野手は鈴木の1人だけになってしまう。

内野陣を見ても一塁手の山川、三塁手の村上、二塁手の牧は攻撃型の選手。守備面で信頼できるのは、遊撃手の源田と二塁手の山田しかいない。もう1人ぐらい守備力を重視した内野手がいた方が良かった。

そうはいっても、なかなか理想通りにはいかないもの。栗山監督でなければ、これだけのメンバーをそろえられなかっただろう。世界大会で優勝を狙える団体競技は少ないと思う。日本野球のレベルの高さを、改めて世界に示してもらいたい!(日刊スポーツ評論家)

侍ジャパンの予想野手布陣
侍ジャパンの予想野手布陣
【イラスト】侍ジャパンの今後の日程
【イラスト】侍ジャパンの今後の日程
侍ジャパンの今後の日程
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