アスレチックス藤浪晋太郎投手は、メジャー初登板で課題が浮き彫りになった。

2回までは完璧だった。点を取られた3回は日本時代と同じく四球が絡んだ。ヒットを打たれた球は甘い球だった。大谷に打たれた適時打は、99・1マイル(約159キロ)とスピードは出ていたが、高めに浮いた真っすぐ。結局、速さよりはコントロールが重要になる。だが、細かい制球を藤浪に求めるのは無理だし、すべきではない。捕手とともに、球速を生かす配球を考えるべきだ。

4三振を奪うなど、スプリットは良かった。カウント球にも使うなど、相手打者に狙い球を絞らせない配球が大事になる。スライダーは踏み込んで打たれていた。右打者にはしっかり内角の直球を見せて、踏み込ませないようにしないといけない。メジャー2年目の若い捕手(ランゲリアーズ)とバッテリーを組んだが、自分がどういう特長があるのかを示していく必要がある。

一番の持ち味である直球は、平均でも158キロが出ていた。球威はメジャーでも十分通用する。この試合のように、36%しか投げないのはもったいない。力で押していく投球ができる。ファウルで「ストライクを取れればいい」ではなく「取ってやろう」と気持ちの強さを持つべき。直球を生かすためにはスライダーを交えて緩急をつけて、より速く見えるように、目の錯覚を誘う。矛盾するようだが、いくら速くても真っすぐ一辺倒だと大谷に合わせられたように、メジャーでは長打を食らう。単調にならないように工夫をしながら、直球の割合を増やすべきだ。

今季から始まったピッチクロックの影響で、じっくり考えながら配球することは難しくなった。違反でボールを取られた場面もあった。嘆いていても仕方ないので、試合前から捕手とみっちり攻め方の打ち合わせをして試合に臨めばいい。最初の試合なので反省点を見つけて、今後に生かしていけばいい。次回登板での修正に期待したい。(日刊スポーツ評論家)

アスレチックス対エンゼルス 3回途中5安打8失点で降板するアスレチックス藤浪(右端)(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回途中5安打8失点で降板するアスレチックス藤浪(右端)(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス1死満塁、ジェイク・ラムの中適時打で二塁から生還する大谷(手前)を前にする藤浪(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス1死満塁、ジェイク・ラムの中適時打で二塁から生還する大谷(手前)を前にする藤浪(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス無死満塁、レンドン(奥)に中犠飛を打たれる藤浪(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス無死満塁、レンドン(奥)に中犠飛を打たれる藤浪(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス無死二、三塁、ウォードに中適時打を打たれる藤浪(撮影・菅敏)
アスレチックス対エンゼルス 3回表エンゼルス無死二、三塁、ウォードに中適時打を打たれる藤浪(撮影・菅敏)