1点差となった9回裏2死満塁で、巨人バルドナードのマウンドでの様子は緊迫したものだった。岸田に早くボールを返せと要求しているように見えた。

私の経験上、僅差の土壇場で四球を連発した投手が、こうしたしぐさをした時、ほとんど立ち直ったことがない。もともとバルドナードは抑えではなく、大勢が戦列を離れ回ってきた役割だった。

巨人からすれば、ここはバルドナードをあきらめるしかない局面に映った。小郷が最後は決めて劇的な結末となったが、カード頭を是が非でも取ろうとする激しい試合だった。

交流戦は残り1週間となり、ここからの戦いはペナントレース再開も視野に入る。それだけに、週頭となる火曜日の先発に託される役割はより重要になる。巨人山崎伊、楽天ポンセの顔合わせになったが、対照的だなと感じていた。

山崎伊はここまで安定しており、この日もベンチの期待にこたえるように7回2失点としっかり試合を作った。一方のポンセは不安が的中する序盤となった。2回に岸田、泉口に2者連発を浴び、1点差に追い上げた直後の4回には丸に3ランを許した。

もともと、ストライクゾーンに動かす球を投げるスタイルだ。そこで、ボールの勢いとキレで勝負するが、その生命線の球威、キレを欠くと痛打される。この日の太田はかなり甘く構えていた。それで本来のボールのキレがなければ、こうして長打を浴びてしまうのも無理はない。

楽天のリリーフ陣は、この日の試合前までのデータとして、パ・リーグトップの防御率1・17を誇る。強力な投手スタッフが後ろに控えるが、残りの交流戦を考えるとカード頭のこの日は、なるべく後ろに負担をかけたくない状況だった。

もちろん、交流戦優勝争いを走っており、多少の負担もいとわないのは当然だろう。ただ、チームマネジメントとして、交流戦後の21日からペナントが再開される。つまり先発ローテーションの再編が可能になる。

逆転Aクラスを目指す楽天は、火曜日の先発として、なるべく長いイニングを投げられるスタッフを据える戦略が求められる。ここで中継ぎ陣に負担をかければ、夏場に向けて、登板過多という不安材料もちらついてくる。

バルドナードの乱調で試合をひっくり返した。今日のサヨナラ打で、このまま交流戦で優勝すれば小郷がMVPだろう。(日刊スポーツ評論家)

楽天対巨人 9回裏楽天2死満塁、小郷(手前)にサヨナラ適時二塁打を許しぼう然とするバルドナード(撮影・浅見桂子)
楽天対巨人 9回裏楽天2死満塁、小郷(手前)にサヨナラ適時二塁打を許しぼう然とするバルドナード(撮影・浅見桂子)
楽天対巨人 9回、巨人4番手のバルドナード(撮影・菅敏)
楽天対巨人 9回、巨人4番手のバルドナード(撮影・菅敏)