勝者をたたえるのが勝負事の鉄則だが、私は負けた西武の試合運びに、大切なチーム方針とも言うべき骨子を感じた。

4回2死一塁。打席は投手隅田。2死から8番仲田が死球で出塁という場面だった。着目したのは、9番まで回したことでオッケー、次は1番からの攻撃だ、という一般的な受け止め方をしない抜け目無さだった。

仲田はいかにも盗塁を仕掛ける雰囲気を漂わせるリード。DeNAジャクソンもけん制を入れる。捕手山本は1球ごとにセカンドスローの姿勢を取り警戒。隅田もセーフティーの構えを見せ、なんとか四球を、と必死に見えた。

こういうところだろうと、私は思った。今年はいい戦い方をしている。昨年よりも明らかに細かい部分に意識を配り、チーム全体として些細(ささい)なところを大切にしている。

3回、牧の三塁への強襲安打は人工芝の切れ目でバウンドが跳ねたが、山村は体に当てながら後ろにそらさない。続く宮崎の打球もあわや中前というコースでも、二塁滝沢が追い付く。ボールが手につかなかったが、ここも後ろにやらなかった。結果、2つの打球処理を球際で食らい付き、ここは無失点で切り抜けた。

淡々とやりながら、どこか繊細さの追求をおろそかにしていた昨年とは、まるで別チームのようだ。5回、宮崎のヒットを処理した際、右翼の長谷川がよろけた。8回、宮崎の打球をトンネルした山村はもったいなかったが、今季は開幕からずっといかにも西武らしい細部を意識した試合が継続されている。

ではDeNAはどうか。この長谷川が転ぶところを河田三塁コーチが見逃さず、一走牧の本塁突入を促した判断は見事だったが、全体としての粗さは拭えない。

3回無死一塁での蝦名、4回無死二塁での森敬のいずれも犠打失敗だ。特に森敬は2軍で75打席もありながら犠打ゼロ。せめて2軍でやらせておかなければ、こうして接戦で失敗して悔しい思いをする。むろん、出されたサインを完璧に遂行するのが選手の務め。バントへの備えが足りない森敬は反省しなければならない。

DeNAは防御率1点台の先発投手をジャクソン、ケイ、東と3人そろえている。理論上2点奪えば負けないという大きなアドバンテージ。しかしながら、相変わらずビッグイニングがないと危なっかしい試合運びは旧態依然としている。

投げる投手によっては、1点差を確実にものにする堅い試合運びもできなければ。夏場以降の優勝争いで痛い目を見る。今のうちから、それこそ西武のように、細部を見過ごさない姿勢を考えてほしい。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対西武 2回表西武無死一塁、右越え2点本塁打を放ち喜ぶ山村(撮影・野上伸悟)
DeNA対西武 2回表西武無死一塁、右越え2点本塁打を放ち喜ぶ山村(撮影・野上伸悟)