<阪神1-6中日>◇5日◇甲子園

阪神原口文仁捕手(26)が、桧山進次郎氏(49=日刊スポーツ評論家)が持つ代打の球団最多安打記録に並んだ。左手小指の骨折から再起してこの日再昇格。8回の代打復帰打席で笠原から中前に運んだ。

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絶対に戻る-。一振りにかける男の「執念」が伝わってきた。9月末の鳴尾浜には、リハビリに励む原口の姿があった。左手小指を骨折した影響で、ボールを受けることもできない…はずだった。だが、痛くてもできる練習法を考えた。右手にグラブをはめ、捕球しては外しては左脇に挟む。その繰り返しで、スローイング感覚も忘れずにいれた。

右手1本でバットも振った。球団トレーナーが「無理はさせられない。(代打)記録のこともあるけど、戻れないかも」と話すほど、今季中の復帰は難しいとされていた。それでも、代打の切り札は帰ってきた。窮地に立たされた虎の力になりたいと、1日も早く甲子園に戻ると決めていた。

「体と頭をきっちり整理して打席に入る。あとはタイミングを合わせるだけ」

左手の甲を覆うガード、普段より指2、3本分、短く持ったバットが、断固とした決意を物語る。神懸かる一振りは、血と汗の勲章だ。【阪神担当=真柴健】