いよいよ今日29日、「新時代」のプロ野球開幕を迎える。平成最後の「日本一」に輝いた工藤ホークスは、リーグV奪回&3年連続日本一に向け、スローガンに掲げた「(奪Sh!)ダッシュ」をかけることができるだろうか。

今季、ホークスにとっても大きなメモリアルを迎えた。南海からダイエーへと球団が変わり、福岡移転して30周年の記念イヤー。球団も「WE=KYUSYU」をキャッチフレーズにさまざまな企画を用意している。

思い返せば30年前、劇的な試合で新生ホークスはスタートを切った。1989年(平元)4月8日。開幕戦はビジターでの日本ハム戦(東京ドーム)だった。先発マウンドに上がったエース山内孝徳の粘投も実らず、同点で迎えた9回裏に日本ハム新人の中島輝士に左翼席へサヨナラ2ランを運ばれた。内角をえぐったシュートを中島は見事にとらえた。「ただただ夢中でしたね。もう1度、あの球を打てと言われても無理。左脇が締まってね。自分でもよく打てたなあと、今でも思い出しますよ」。中島は30年前の快打を照れくさそうに振り返った。

ホークスは88年ドラフト1位に社会人・プリンスホテルの強打の外野手・中島を指名したが、競合した日本ハムにクジで負けた。逃した男に開幕戦でサヨナラ被弾。新人選手の開幕戦サヨナラ弾は史上2人目の快挙でもあった。ホークスにとっては悔しさいっぱいの一戦となった。3戦目でようやく移転初勝利。先発加藤伸一が記念のウイニングボールを手にした。本拠地・平和台での開幕戦となった西武戦はエース山内孝徳が気迫の投球で完投勝利。レオファンの圧倒的な応援の圧力に屈することなく白星を手にした。

ホークスが30年間で積み上げた数字は2127勝1891敗(111分け)。勝利にも敗戦にもドラマがあった。さて、今季はどんなドラマチックな試合を展開してくれるだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】