<中日5-1阪神>◇12日◇ナゴヤドーム

ナゴヤドーム中日のドラフト2位梅津晃大投手(22)が阪神打線を6回7奪三振1失点に抑え、プロ初登板初先発で初勝利を飾った。

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梅津はウイニングボールを誰に贈るか聞かれると、こう答えた。「自分で取っておきます。ためていきます」。この日、父滋さん(57)ら家族5人がナゴヤドームに観戦に訪れた。そこに母明美さん(52)の姿はなかった。昨年、ドラフト会議直前の10月中旬に脳出血で倒れ、リハビリ生活が続く。滋さんは「車椅子を卒業して、不自由な右足を支えながら、立っています。会話は昔のようにスラスラではないですが、息子とも会話を楽しんでいます」と言う。この日は仙台市の自宅でテレビを見ながら、応援していたという。

梅津自身もリハビリを乗り越えた。間違いなく、家族の力がそこにある。7月11日に仙台で行われたフレッシュオールスター。2回を無安打無失点に抑え、実家で食事した。野球の話はあえてしなかったという。滋さんは「久しぶりに会う母と息子の普通の会話を楽しませるようにした」と振り返る。後半戦は残り37試合ある。勝利の記念球をためて、オフに故郷に帰る姿が目に浮かぶ。

6回表阪神無死、近本を見逃しの三振に打ち取りガッツポーズする梅津(撮影・前岡正明)
6回表阪神無死、近本を見逃しの三振に打ち取りガッツポーズする梅津(撮影・前岡正明)