目の色が変わった。日本ハム浅間大基外野手(24)が、苦しむチームで奮闘している。

名門・横浜高卒の7年目。「やっと」という思いを抱きながら、1軍のグラウンドを駆け回る姿を追っている。今年の浅間は、例年以上に覚悟を漂わせている。

外野の牙城を崩そうとしている。近年は大田、西川、近藤がレギュラーとして高くそびえ立っていたが、今季は浅間が中堅でスタメン出場する機会が増えた。元々、非凡な才能の持ち主。武器の強肩に正確性が備わり、逆方向への打球が格段にアップ。打率3割2厘でチームトップ(4月23日時点)と数字にも表れた。

栗山監督は「浅間が1番を打つわけだから1番、浅間がレギュラーなんだよね」と言う。4月9日オリックス戦では、7連敗を止める決勝打。栗山監督の球団最多タイ631勝目を飾った。ヒーローインタビューでは「もっと躍動したい」と満足することなく、貪欲な姿が印象的だった。

ルーキーの頃から、慢心さは皆無だった。1年目の当時、デビュー戦から高卒新人最多タイの4試合連続安打。高卒新人では29年ぶり2人目のサヨナラ安打も放った。記録ずくめの鮮烈な1年を終えても「まだまだ」「ここからなので」が口癖だった。2年目以降は主に腰痛など故障に悩まされ、不遇の時を過ごした。腐らず、心身で大きくなって表舞台に返ってきた。

1度、欲を見せたことがあった。節目の20歳の誕生日を迎え、自分へのプレゼントを聞いたとき。少し頭をひねらせ「野球がうまくなりたいです。その力が欲しいですね」と笑った。翌年の誕生日にも、笑顔で同じプレゼントを期待していた。根底にある、強い野球愛。変わらない思いが、今の浅間をつくっている。【日本ハム担当 田中彩友美】