ご縁に恵まれた。プロ野球担当記者になって1年目。ヤクルト担当として、リーグ優勝の場に立ち会えた。CSファイナルも不敗で突破し、20日からは日本シリーズ。球団担当記者たちの中では、一番長いシーズンを送らせていただいている。

16年に入社し、19年まで整理部で紙面レイアウトを経験。20年はアマチュア野球を取材し、今年はヤクルト担当となった。現場に立つと同時にコロナ禍。感染拡大防止に細心の注意を払いながらの取材。思い描いていた取材風景とは、かなりかけ離れていた。どうすればいいのかと悩む日々。それでも毎日締め切り時間はやってくる。記者歴が何年だろうが、読者にとっては関係ないこと。右往左往しながら、なんとか記事を書いてきた。そんな今季の開幕前、先輩記者に声をかけられた。「できないことよりできることを考えろよ」。シンプルな言葉であるが、それが核心を突いているように感じた。

今季のヤクルトは奥川のプロ初勝利に始まり、青木の日米通算2500安打、村上の史上最年少での通算100号、6年ぶりのリーグ優勝など…。節目の記録が数多くあった。その度に「なにができるか」を考え、球団の協力や諸先輩方の助言を受けながら、選手への敬意を持ってお伝えしてきたつもりだ。あっという間に過ぎ去ったシーズン。残りは日本シリーズのみとなった。現場の熱気や緊張感をいかに届けられるか。「できること」を考えて、精いっぱいの仕事をしていきたい。【ヤクルト担当=湯本勝大】