生き残りをかけた戦いが、前年最下位から「日本2位」まで飛躍したチームを象徴していた。

オリックス福田周平内野手(29)は人生初のセンターに挑戦し「1番中堅」の座を奪った。

1、2年目は110試合以上に出場も、昨季は76試合に終わった。オフに「試合に出たい。センターに挑戦したい」と出番を求めて球団に直訴。今春キャンプで初めて外野手用グラブを持った。本職は二塁だったが、自らの力で5月から定位置をつかんだ。「広いグラウンドを走って、1歩でも遠くの打球をキャッチできたときに達成感がある」。167センチの小兵は日々、充実の表情を見せた。

リードオフマンとして、25年ぶりのリーグVに貢献。107試合に出場して打率2割7分5厘、1本塁打、21打点、9盗塁とレギュラーに返り咲いた。「おのおのがやるべきことが分かっていると思う。個々、全員が違う課題を持って戦っている」。役割を明確に把握し、自身は先頭打者として「出塁すること」に最大限の意識を置いた。挑戦の続いた1年。拙守があっても、信じて使ってくれる中嶋監督に応えていった。「自分のやりたいことをやらせてもらった。(外野挑戦を)ダメだと言われたことなんてなかった」。日本一は逃しても、得たものは大きかったはずだ。

主砲の吉田正が度重なるケガで離脱した際、こう口にしていた。

「これを言ったらあれですけど…。正尚がいなくなってチャンスと思っている選手も絶対いるはず。もちろん、正尚の離脱は痛いですよ。穴があいて、どう埋めようか目をギラギラさせてる選手もいる」

勝機は自らつかむもの。プロ4年目の福田の言葉が、社会人5年目の自分の胸に刺さった。【オリックス担当 真柴健】

日本シリーズ第6戦 オリックス対ヤクルト 5回2死二塁、福田は左前適時打を放つ(2021年11月27日撮影)
日本シリーズ第6戦 オリックス対ヤクルト 5回2死二塁、福田は左前適時打を放つ(2021年11月27日撮影)