V奪回へ向け、ソフトバンクも動きだした。5日は球団の仕事始め。王球団会長、後藤オーナー代行兼社長ら幹部が景気よくたる酒を割って22年シーズンをスタートさせた。工藤政権ラストとなった昨年はまさかの4位転落。5年連続日本一の夢は消え、改めて「継続」の難しさを味わった。昨年末のスポンサーパーティーでビデオメッセージを送った孫オーナーは悔しさをあらわにし、おとこ気あふれる藤本新監督にV奪還を託していた。

必勝と育成。「世代交代」しながらも常勝の2文字は譲れない。チームには例年以上に大きな課題が横たわる。勝ちながら育て、育てながら勝たなければいけない。孫オーナーの「1位以外は敗者」の哲学はフロントも現場も身をもって知っている。日本初の開閉式ドーム球場が誕生して今年で30周年の節目。王者奪回は言わずと知れた至上命令である。

球団幹部が鏡開きで必勝を誓っていたとき、筑後市のファーム施設は閑散としていた。この日から併設する寮も開いた。午前に周東が姿を見せて軽く体を動かし、午後からは4年目捕手の渡辺が暗い室内練習場でひとりバットを振った。練習にやってきたのは2人だけだった。リハビリ組は7日、育成選手たちは新人合同自主トレが始まる10日から練習がスタートするという。1軍のレギュラー組が各自主トレ地に散ってすでに動き始めているというのに、若手がのんびりムードでは追い付くものも追い付けまい。

今春のキャンプは宮崎、筑後の2カ所に分離して行われ、宮崎にはA、B組が行き、C組(育成、リハビリ組)は筑後に残る予定。個人的な意見だが、筑後にはB組が残ったほうがいいのでは? と思う。大幅にB組の練習量が確保できるからだ。閑散としていた筑後のファーム施設を見ていて、ふと思った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】