今年の春季キャンプ取材は、長かったようであっという間だった。連日のようにプロ野球ニュースの主役を張ったのは、やはり日本ハム新庄剛志監督(50)。追いかける我々に心休まる日はなく、怒濤(どとう)の毎日だったが、食事の面では大変、恵まれた。

理由は、連日のように新庄監督から提供された「BIGBOSSランチ」にある。当初は、まさか、1カ月続くとは思わなかった。練習日や、ホームでの練習試合の日。お昼近くなると、キッチンカーから肉を焼くいい匂いが漂ってくる。バレンタインデーが近くなると、1本3000円! もする有名店のガトーショコラまで配られた。今年は雨が多く肌寒い日が多かったが、温かい食事は身も心もほぐしてくれた。

この「BIGBOSSランチ」は、新庄監督の発案だ。新庄監督が現役だったころは球団から昼食が提供されていたが、経営合理化のためなのか、衛生面のためなのか、数年前から廃止になった。これは、何も日本ハムに限ったことではない。無償でいただいていた身として不満など一切ないが、昼食の確保が大変になったのは言うまでもない。昼食抜きの日も多かった。現状を耳にしたBIGBOSSは「それはちょっと…」と、我々の胃袋を心配。「取材に集中して欲しいから」という思いで、昼食の提供を決めたようだ。

キッチンカーは、沖縄県うるま市と沖縄市にあるバーベキュー&カレー店「パナマ原人」からやって来た。名物は、ジャマイカ料理のジャークチキン。スパイスと炭火の香ばしさが、やみつきになる。新庄監督サイドの関係者が提供店を探し、交渉してくれたそう。キャンプ最終日の28日、報道陣一同からの「ごちそうさまでした」という言葉に「いやいやいや、シーズン中にはないけどね。かかりすぎる、コレ(お金)が」と、親指と人さし指でマルを作って、おどけたBIGBOSS。照れ屋で、褒められるのはちょっぴり苦手。新型コロナ禍で主張先の食事に困る昨今、BIGBOSSの心配りで、健康的にキャンプを完走できました。ありがとうございます。【日本ハム担当=中島宙恵】

日本ハム新庄監督からマスコミ関係者に昼食が振る舞われた(2022年2月1日撮影)
日本ハム新庄監督からマスコミ関係者に昼食が振る舞われた(2022年2月1日撮影)