9月1日、ZOZOマリンにさっぱりとした顔で守備練習を行う男がいた。さわやかな笑顔を振りまくロッテ小川龍成内野手(25)だ。

前日まで、口ひげ&あごひげの、ちょっと大人なバージョンだったはず。「あれ? ひげどうしたの? なんで剃っちゃったの?」と問いかけた。

小川 2軍にいた時から内田(順三臨時打撃)コーチに「お前、なんでひげはやしているんだ?」って言われていて、「(石川)慎吾さんに言われて伸ばしています」って言ったら、あまり似合っていなかったらしくて…。

かわいらしいイケメンだけに、私も最初は???って感じでしたが、精悍(せいかん)さがあっていいなあと思っていた矢先だった。

小川 内田さんに「試合で4タコ(4打数無安打)したら、ひげを剃れ」と。ファーム(2軍)の時にはなんとか耐えていたんですけれど、(前日の試合で)4打席凡退したので。そこはまあ、約束したので。内田さんには連絡していないです。

男の約束だった。内田コーチにとっては、結果を出してほしいための約束だったと推測が立つ。今季イースタン・リーグでは打率3割2分。1軍では1割6分7厘。内田コーチも、1軍で集中力を高める一助だったのだろう。

8月は2軍生活がながかったが、同24日に再び1軍登録された。同27日オリックス戦で「9番二塁」で先発。ファウルで5球粘って11球を投げさせる打席もあったが空振り三振。3打数無安打だった。同31日には「9番右翼」で再びチャンスが来た。第1打席で8球粘ったがまたも空振り三振。その日が約束の「4タコ」だった。

2死満塁からセーフティーバントを試みた場面もあったが「想定内でした」とベンチからのサインにも驚く様子はなし。二塁だけでなく、今季から外野も挑戦している守備についても「自分の長所だと思っているので自信が持てた」と手応えを得た。

小川 打撃の面では、なかなか自分のバッティングが出来なかった。2軍で打てても1軍で打てないのは、まだまだレベルが達していないということ。2ストライクからの粘りはけっこう出来ていると思ったけれど、ファウルになったり空振りしてしまう場面があった。なにかしら空振り三振ではない結果を。1球で仕留めなくてはいけない。練習から1球1球、本当に仕留める気持ちでやっていければ。

守備と走塁は吉井理人監督らの信頼を得ている。打率はもちろんだが、今季2割1分1厘の出塁率アップは、もっともっと成長しなくてはいけない課題だ。9月12日には再び1軍登録を抹消された。ポランコも巨人時代にはなかったヒゲをはやし「ひげもホームラン数も伸ばす」と言って本塁打王争い中。俊足巧打の小川には、ひげも出塁率も伸ばす力を身につけ、再び1軍に帰ってきてほしい。【ロッテ担当=鎌田直秀】

試合前練習に臨むロッテ小川(2023年9月12日撮影)
試合前練習に臨むロッテ小川(2023年9月12日撮影)