首位打者となったオリックスの頓宮裕真捕手(26)は現状、プロ野球史上唯一無二の存在である。

「盗塁を知らない首位打者獲得者」なのだ。

今季は123安打を放ち、初の栄冠を手にした。ところが、盗塁はゼロ。それどころか、通算280試合に出場しながら、盗塁はまだ1個もない。

1リーグ時代も含め、首位打者に輝いたシーズンに盗塁がなかった選手は他に以下のメンバーがいる。

01年福浦和也(ロッテ)

12年阿部慎之助(巨人)

17年宮崎敏郎(DeNA)

20年佐野恵太(DeNA)

21年吉田正尚(オリックス)

そして、頓宮は6人目である。直近は去年までの同僚で、現レッドソックスの吉田正だ。不思議なことに、21世紀に密集している。

なお、今季セ・リーグで2度目の首位打者となったDeNA宮崎も1盗塁に終わった。両リーグの首位打者で合わせて1盗塁は史上最少だ。

過去の首位打者の盗塁数最多は64年広瀬叔功(南海)の72盗塁。2位はオリックスの大先輩イチローで、95年に首位打者と合わせて49盗塁を重ねている。球界のレジェンドたちも、今回の珍事を知ったら目を丸くするかもしれない。

話を「盗塁0の首位打者」に戻す。

過去5人のうち、前年までに盗塁を記録していたのは4人。福浦2盗塁、阿部12盗塁、佐野1盗塁、そして吉田正は17盗塁。宮崎のみ前年16年まで0盗塁だったから、頓宮は盗塁をしたことがないまま首位打者となった史上2人目の選手となった。

ところで、この話には続きがある。

頓宮の「ライバル」宮崎は前述の通り、今季1盗塁。9月25日巨人戦の4回、ついにプロ初の盗塁を決めたのだ。したがって、日本プロ野球の長い歴史の中で「盗塁0の首位打者経験者」は、頓宮だけということになる。

左足疲労骨折からチームに復帰し、ポストシーズン出場を目指して汗を流している。初盗塁は来季へ持ち越し。まずはCS突破へ向け、打棒復活といきたい。【記録室 高野勲】