2024年がやってきた。選手たちは2月に始まる春季キャンプに向け、準備を重ねている。

個人的に大きな期待を寄せている選手がいる。日本ハムの二刀流・矢沢宏太投手(23)だ。

「二刀流といえば…大谷翔平」と誰もが連想するようになった。マウンドに立てば三振を量産、バットを持てば本塁打王。まるで漫画の主人公のような活躍だった。二刀流には夢がある。

矢沢には大谷とはまた違うカタチが期待できる。来季の起用法については「今年と一緒で野手メイン。投手としてはリリーフで」と話した。

そもそも身長193センチの大谷に対して矢沢は173センチ。選手としてのタイプが違う。

打者のタイプ的にはアベレージヒッターだ。8月3日のイースタン・リーグ、ヤクルト戦では2打席連続アーチを放つなどパンチ力もある。50メートルを5秒台で走る走力も兼ね備える。

投げては150キロを超える直球と、縦横に変化する2種類のスライダーにチェンジアップを交える。1軍で登板した2イニングで3つの三振を奪っており、短いイニングでの攻略は難しいだろう。

今季はケガに苦しんだ。6月3日巨人戦(東京ドーム)のことだ。1点を追う9回、先頭の万波が右前打で出塁。代走に矢沢が送られた。マルティネスの右前打で三塁に進み、清水のスクイズで本塁にヘッドスライディング。この時に左手小指MP関節橈側(とうそく)部側副靱帯(じんたい)損傷及び右膝内側側副靱帯(じんたい)軽度損傷のケガを負った。

投手のヘッドスライディングはケガのリスク面から“タブー”とされている。いくら野手で出場していたとはいえ結果として悔いが残った。矢沢本人も「あまりケガはしたことがない。あのヘッドスライディングでのケガから」と悔しさをにじませた。

8月8日に再昇格するも打撃がふるわず。5日後に再度出場選手登録を抹消され、その後は2軍でシーズンを終えた。

11月1日には右手有鉤(ゆうこう)骨骨折の手術を受けた。夏頃から違和感を覚えていたというが、「多少みんなどっかしら痛いので、こんなもんだろうな」とプレーを続けていた。

1年目は悔しいシーズン。だがそれも必死にプレーした結果だ。「ケガでリハビリにも時間かかるし、ケガ1個でシーズン半分ダメになったり、1年ダメになる人もいる。そこは大事にやりたい」と得たものは多かった。

二刀流には夢がある。大谷が先発投手でホームランバッターなら、矢沢はリリーフエースで首位打者…なんて想像がふくらむ。

「あの選手はどんな活躍をしてくれるだろうか…」。期待に胸をふくらませて、球春到来を待ちたい。【黒須亮】