<イースタンリーグ:日本ハム6-3巨人>◇4日◇鎌ケ谷


日本ハムの高卒2年目コンビ、達孝太投手(19=天理)と畔柳亨丞投手(20=中京大中京)の現状をリポートする。

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巨人は菅野が投げ、日本ハムは清宮が出場していた。しかし、私は達と畔柳のピッチングに大きな可能性を感じ、変化球をテーマにじっくり見させてもらった。

達、畔柳の両投手に言えることは、真っすぐが非常にいい。あくまでも2軍を念頭に置いた評価で、1軍でも通用するかと言えば、まだ球質も球威も上達の余地はある。

ともに最速149キロ。力のある真っすぐを投げていた。よく腕が振れている。となると、同じ腕の振りで変化球を投げられるなら、ピッチングの組み立てができるということだ。

そういう視点から2人を見ていたが、まずは達。初回2死一塁で打席には4番香月だった。その初球はフォーク。走者を置いたピンチで、相手の主軸に対し、初球フォークから入る。興味深いなと感じた。

香月は初球から振ってくるだろう、という読みの元でフォークを選択していると感じた。そこで結果は見逃してボール。フォークはボールゾーンからボールゾーンだった。低すぎる。香月は冷静に見逃したのだが、私はここに注目した。

この場面、フォークを選択した時、最悪のケースは高めに甘く入り、長打を打たれること。その次はボールからボールで見極められること。理想はストライクからボールになるフォークで空振りを奪う、こういう順番で考えていた。

では、制球できずにボールになり、打者有利なカウントにしてしまい失敗かと言えば、私はそうは思わない。前の打者松田に対し2-0のバッティングカウントから、サインに首を振ってフォークを投げ、しっかり空振りを奪っていた。

この感触が残っていたために、初球からフォークでしっかり空振りを取ろう、そして空振りは取れなくても、絶対に低めに投げるよう十分に注意して投げたと感じた。松田に対するフォークと、香月への初球フォークでは、およそボール1個から2個近く低かった。

この高低の調整を自分のものにすれば、ピンチで主軸にフォークから入ることが可能になる。これは、1つの武器になる。現状の1軍投手では、初球からフォークで入れる代表格はロッテ佐々木朗だろう。メジャーではメッツ千賀もそうしたフォークが操れる。

達のフォークは佐々木朗ほどの落差はなく、いわゆる普通の変化をするフォークだ。それでも、初球からフォークで入れる強みは十分にある。松田でつかんだ手応えを、こうした場面で実践して応用する姿勢もいい。

あとは指の感触、腕の振りなどで、どんどん試しながら精度を上げていけばいい。力のある真っすぐと、ある程度のレベルで高低を調整できるフォークがあれば、そこから達のピッチングはどんどん広がっていくはずだ。

では畔柳はというと、こちらも力のある真っすぐはいい。主に中継ぎ起用と思われるため、短いイニングで真っすぐを軸に投げきるイメージになる。そこで、真っすぐと対になる変化球に目が行くが、畔柳はカーブがいい。

楽天岸、オリックス宮城や山下らの、いわゆる抜いたカーブとは違う。岸が110キロ未満に対し、畔柳のカーブは119キロ前後。球速のあるカーブで、抜いたカーブよりも、スピードがあるのが特長。それでも、真っすぐとの組み合わせで使っていけば、貴重なアクセントになる。緩急が生まれるからだ。

今は大きなカーブで打者のタイミングをずらしているが、もっとカーブを極めてもおもしろい。WBCでは佐々木朗がダルビッシュ(パドレス)からスライダーの投げ方を教わったように、畔柳もいろんな投げ方を、チャンスを見つけてどんどん人に聞いて試してみるといい。

その過程で、自分の感覚にしっくりする投げ方が見つかれば、今よりもっとブレーキ鋭いカーブに磨かれていく可能性も十分にある。

達と畔柳、この2人は同じ高卒同期で、同じ右腕。先発タイプの達と、中継ぎタイプの畔柳で、そこに違いはあるが、お互いに刺激し合ういいライバルのように見えた。いい真っすぐを持ち、達はフォーク、畔柳はカーブ。

さらに真っすぐをパワーアップして、その相棒となる変化球をレベルアップさせて行けば、1軍への道も見えてくるはずだ。若くて個性あるピッチャーがそろう日本ハムは、ここから数年が非常に楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)