記者として取材を始めてから約2週間がたった。

初めて1人で取材に行った5月25日の関西学生野球春季リーグで関大の左腕・米沢友翔投手(2年=金沢)を取材した。3番手として6回裏途中から登板し、7回は3者連続三振の好投を見せていた。

米沢は石川県珠洲市の出身。元日の能登半島地震の際に実家で被災した。地震が起きた瞬間は「頭が真っ白というか考えられなかった」と話したが、すぐに祖父母の家に向かい、祖父母の安全優先で行動した。家族も友人も無事だった。

両親や祖父母は1カ月ほど避難所生活を送ったが、米沢は両親から「大阪に行け」と言われ、3日ほど避難所で過ごした後、帰阪し練習を再開した。

震災を経て「学ぶことが多かった」と明かした。何を学んだのかを聞くと、「みんながみんな一緒のものを食べられるわけでもない。やっぱりお年寄りの方が多い地域ではあったので、その方たち優先っていうふうに考えるのと、やっぱりたくさん困っている人もいるので寄り添う、そういうのが震災を通して学べたので、そこからすごく自分自身も強くなった」と答えた。

「家族の分まで頑張ろう。活躍したら両親も喜ぶかな」という気持ちで臨んだリーグ戦を通して、「成長できているなっていう感覚はあります」と手応えを示した。

人間がプレーしている以上、野球以外の経験が良い影響を及ぼすことはあるだろう。緊急事態でもとっさに優先順位を考えて行動し、つらい経験を乗り越え強くなった米沢の話には、今後私が記者として成長するためにも参考にするべきことが多いと感じた。【塚本光】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)