「7番一塁」で初スタメンとなったロドリゲスの活躍はベンチはホッとさせただろう。8回に貴重な3点目となる中前打。前日は代打で2点適時打を放ち、この日も4打数2安打だ。一塁の守備でも4回に横っ跳び捕球を見せ、まずは補強成功という感じである。

ロドリゲスに関しては加入時から実質、一塁しか守れないということで守備位置の課題がメディア、評論家、そして虎党の間で話題になっていた。スタメンで起用しようとすれば大山悠輔を左翼に回す方法がもっとも現実的。実際にこの日はそうなった。

だが「5番一塁」に固定され、ポイントゲッターとなってきた大山を外野に回してまでロドリゲスを先発起用するのか。それで打線のバランスが崩れてしまえば何をしていることか分からない-。そんな不安がつきまとうのも事実だ。

指揮官・矢野燿大は就任以来、マルチポジションを推し進めてきた。選手にすれば守備位置が変わることには慣れているかもしれない。それでも何らかの影響はあるのでは…という見方は残る。

大山は左翼スタメン時の打撃成績はよくない。この日で今季12試合目、41打数9安打の打率2割1分9厘。これは一塁(67試合)三塁(7試合)でのスタメン時と比べ、ワーストだ。この日は今季2度目となる1試合3四球。ほとんどDeNA投手陣が勝負を避けているような感じだった。四球で勝利に貢献したが前日のような打撃を見たいのが虎党の本音だろう。

大山だけではない。この日、初めて自身のグッズ「ありがとうなぎ」シリーズが発売された島田海吏は出場しなかった。これまでも相手先発が左腕のときは出ないときはあったし、そもそも続けて先発出場するようになったのは6月からだ。

それでも中野拓夢、島田、そして近本光司の俊足トリオで相手にかけるプレッシャーはあった。この日は山本泰寛が2番で2犠打を決め、得点に結びつけたけれど阪神の強みである機動力の部分ではマイナスになったかもしれない。

いずれにせよ、プロは結果だ。「ラッキーボーイ的存在になってくれたら」。矢野はロドリゲスへの期待をそう表現した。誰を使っても勝利が最重要なのは事実だし、そこは指揮官の裁量。借金完済から貯金生活へ向け、「ベストの選択」が要求される局面だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 4回表DeNA無死、ロドリゲスは桑原の打球を好捕し一ゴロとする(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 4回表DeNA無死、ロドリゲスは桑原の打球を好捕し一ゴロとする(撮影・加藤哉)