15日からの秋季安芸キャンプ最後の1週間は「注目よ、はっきり言うて」という感じだろうか。新指揮官・岡田彰布と佐藤輝明の本格的な“絡み”があるかもしれない。侍ジャパンから安芸に合流した佐藤輝の様子を見守って岡田がびっくりしたのは12日のこと。

「これじゃあかんと思うよ。オレは。一緒に練習してびっくりした。(スタメン固定は)そういう予定やったけどな。今日の動き見とったら分からへんわ。ホンマに。(フォームなど)変えないと。最終的には本人やからな。1年間、フルでできる体やな」。そう話し、練習不足やフォームを指摘。来季はスタメンでフル起用とした前言を撤回しかねない様子だった。

それを受けたのかどうか佐藤輝は13日の打撃練習でスタイルを変える。スタンスを広く取り、グリップを少し下げた様子。これまでに岡田が話していた通りの形だ。その点について佐藤輝は「いろいろ試してるんで」。岡田の指摘についても「まあまあ、ゆっくりいきましょう。まだ秋なので」と笑顔で話した。

鳴り物入りで入団し、苦しみながらも頑張っている看板選手と復帰した大物OB監督。そんな2人の関係がどう展開するのか。有望新人と成績を残した上司という視点で見れば阪神、野球に限らず、興味深いものかもしれない。

自分に合うと感じる指導は取り入れ、そうでないものはやらない。最近の傾向から言えば、そういう感じだろう。岡田がそれをどう感じるか。前任者が「選手の背中を押し、もり立てる」というポリシーの矢野燿大だっただけに、そこにはやはり違いがあるだろう。それこそ一部で不安視されている「世代間ギャップ」のようなものが出てくる場面かもしれない。

とはいえ知る限り岡田は何かを遠回しに言うようなタイプではなく感じたことを率直に口にするだけ。今回も佐藤輝の様子について感想や考えを言っただけとも思える。佐藤輝にしても「別にスタメンで固定と言ってもらったことに甘えるつもりもなかった。結果を残せば出してくれる話」と話すなど“大人”を感じさせている。

それこそハッキリしているのは佐藤輝が成長した姿を見せて「いろいろ言わんでも打ちますよ、そんなん」というところを見せればいいだけの話。そんなことを考えつつ、今週の動きに注目したい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神佐藤輝明(2022年11月13日撮影)
阪神佐藤輝明(2022年11月13日撮影)