新潟西が夏1勝に一番乗り。羽茂に8-1で7回コールド勝ちした。1-0で迎えた2回2死一、三塁の場面で、平野達也(3年)が走者一掃の左中間三塁打。守備の乱れを突いて本塁を陥れ、3点を奪いゲームを決めた。

 新潟の夏開幕を告げるような鋭い打球音が響いたのは、1-0で迎えた2回だった。2死一、三塁。カウント3-1。「甘い球だけに張っていた」。平野は、迷わず外角高めの直球に反応した。「完璧」にミートしたボールは左中間を越えた。開幕戦唯一の長打。中継ミスを突いて、打った殊勲者まで本塁に生還した。「3、4点もらったところで落ち着いた」と佐伯恭寛監督(26)が勝利を確信した一撃だった。

 「背負ってきたものは大きい。3年になって自覚も出てきた」と1年夏から背番号8をつけていた平野は言う。今春新採用の佐伯監督が赴任して、平野は変身した。「能力は高いが、集中にムラがあった。守備に就くときの全力疾走もできなかった」と指揮官は評したが、地味な動きを最初に改善。プレー以前の細かな動きにも真剣に取り組み集中力を高めた。打撃練習では1球1球に状況を設定してバットスイング。「これは初回、このボールはチャンスの場面など、1球1球に状況を想定して打ってきた」。その練習が開幕戦の快打に生きた。

 「新潟で一番早く校歌を歌った」(佐伯監督)新潟西は、2回戦で春の県大会覇者・新潟明訓に挑む。県内最強の相手だが、平野は臆していない。「(同じ)高校生だから気持ちが大事。1回から全力で9回終了時には1点でも勝っていたい」。大物食いへ、集中を研ぎ澄ましていた。【涌井幹雄】