埼玉に叡明(えいめい)旋風を巻き起こす。第99回全国高校野球選手権埼玉大会(7月8日開幕)の組み合わせ抽選会が20日、さいたま市内で行われた。旧小松原から校名変更、さいたま市から越谷市に移転して3年目を迎えた叡明は、三上ケビン外野手(3年)を中心に今春8強入り。監督が借りた一軒家で共同生活を送りながら成長を遂げたナインが初の甲子園を目指す。

 夕焼けがきれいな越谷市に移転して3年目。叡明1期生の三上にとって集大成の夏がやってきた。「甲子園は憧れの場所。自分もあの舞台でやってみたい」。今春センバツをチームメートと生観戦。大阪桐蔭、秀岳館など全国レベルのプレーを見て聖地への思いはますます強くなった。

 ガーナ人の父と日本人の母を持つハーフ。今でこそ184センチ、76キロとたくましく成長したが入学時は体重が60キロしかなかった。それでも身体能力の高さが中村仁一監督(52)の目に留まった。強化選手に選ばれると学校近くに同監督が借りた4LDKの一軒家での「合宿生活」がスタートした。

 2階に2部屋、1階に2部屋とリビング兼食堂。2段ベッドを置いて9人の仲間と1つ屋根の下での共同生活。食事は監督夫人の博美さんがつくってくれた。1階に造られたトレーニングルームで必死にバーベルを持ち上げた。今春を迎えると体重は16キロ増。当初40キロだったベンチプレスは120キロまで上がるようになり複数のプロ球団から注目されるまでになった。