野球をしていた2歳上の兄の練習を母と見ながら、グラブをはめる右手の位置などマンツーマンで教えてもらった。3歳から単身赴任で留守がちだった父の分まで面倒をみてくれた。丁寧な指導もあって、徐々に左投げは上達した。

 北浦の左は今、花開こうとしている。中学時代は最速128キロだったが、高校では自主練習でチームメートの倍以上を走り込んだ。2年の冬には週4日、200球を投げ込んで下半身を鍛え、変貌を遂げた。

 チームは春の県大会を制し、大きな期待がかかる。「甲子園に行くのは大前提。チームを勝たせる投球がしたい」。母と作り上げた左腕に命運がかかっている。【太田皐介】

 ◆北浦竜次(きたうら・りゅうじ)2000年(平12)1月12日、栃木・黒磯市(現那須塩原市)生まれ。共英小2年から野球を始める。中学は大田原ボーイズでプレー。白鴎大足利では3年春の県大会で優秀選手に選ばれた。家族は両親と兄。183センチ、80キロ。左投げ左打ち。