北越は、エース渡辺一樹(3年)が初完封投球を演じて第4シードの関根学園を1-0で破った。9回を投げて許した安打は4本。8個の三振を奪い、チームを2年ぶりの8強入りに導いた。

 持ち前のスライダーを駆使して、北越の横手投げエース渡辺一が好投した。味方の得点は、3回1死一、三塁に相手投手のボークで得た1点だけ。しかし、もうそれだけで十分だった。「点を取られなければ、負けることはない」と最少得点を背にして、強力打線の関根学園から快音を奪った。8回2死一、二塁の場面では、長打力のある荒井颯太右翼手(3年)を切れ味鋭いスライダーで空振り三振。狙い通りの三振を奪い、ピンチを切り抜けた。

 渡辺一は「インコースを見せて、外のボールを振らせる」という投球プランで関根学園戦に臨み、完封投球をやってのけた。小島清監督(42)は「リリースまではゼロの力でいって、リリースは100の力で球を離せ」と指示したが、配球のアドバイスはなし。エースと皆川泰成捕手(3年)に投球の組み立てを任せた。「要所で抑えてくれた。走者がたまっても制球を間違わなかった」と指揮官はバッテリーをほめた。

 3回戦の長岡向陵戦(6-4)は先発して11安打を許した。5回を投げて3失点で救援を仰いだ。そんな苦い経験をこの日の快投につなげた。15日に行われた3回戦以降、投球フォームをチェック。「しっかり踏み込むフォームに修正して、スライダーの切れをもどした」と言う。3回戦から中3日の先発で、小島監督は「投球間隔が空くと、力むクセがある」と心配していたが、そんな思いを取り越し苦労に終わらせる131球。渡辺一は「1人でやってやろう、という気持ちだった」と、関根学園打線を強気に攻めた。【涌井幹雄】