太田一が高萩清松に逆転勝ちを収め、3大会ぶりに初戦を突破した。1-3で迎えた7回裏、金沢翔一塁手(3年)の適時二塁打で1点差とし、2死二、三塁から4番岡野秀哉捕手(3年)が左前に逆転の2点適時打を放った。この回に計5点、8回に2点を追加して1回戦を突破した。

 試合後、岡野は「本当にうれしい。(逆転打は)4番としてどっしり構えて狙いに行った」と涙を流した。実は岡野にはチームメートの萩谷勇太(3年)と交わした約束があった。

 3月まで岡野は一塁手だった。しかし、3月末の練習試合で正捕手の萩谷は顔面に死球を受け、右ほおを骨折。萩谷のけがによってほとんど経験のなかった捕手の練習を始めることになった。

 ほおのけがが夏までに完治する見通しが立った萩谷は6月から練習に復帰した。しかし、夏の大会の開幕1週間前に本塁でのクロスプレーの練習中に、左手親指を剥離骨折してしまった。最後の夏の1、2回戦の出場は厳しくなった。

 「自分が骨折してしまったせいで迷惑をかけている」と落ち込んだ萩谷に、岡野は「萩谷のミットで試合に出るよ」と声をかけた。「何が何でも、萩谷が治るまで勝つから」と約束。萩谷が先輩の井坂健人さんから受け継いだミットで出場し、その思いを背負って戦い抜いた。

 萩谷は3回戦からは復帰できる見通しだ。岡野は「3回戦に出るまで厳しい試合が続くけど、持ち味のパワーで頑張ります」と、19日の勝田工との2回戦に向けて意気込んだ。