甲府工の救世主は、球星(きゅうせい)だった。8回裏、同点に追い付いてなお2死一、三塁、6番風間球星捕手(3年)は外角の変化球を捉えた。決勝の中前適時安打に一塁で雄たけびを上げた。春の県大会で逆転負けした日本航空にリベンジし、4強入りした。

 風間にとってもリベンジの勝利だ。外角の変化球に苦手意識があり、春の同戦でも外角低めの変化球に三振した。その悔しさから、バッティングマシンでの練習は7割ほどを変化球で行い、徹底的に外角、変化球を打ち込んできた。「ここに来て苦手だった1本を出せてよかった」と笑った。

 父啓介さんも塩山商の高校球児。「球星」の名前には、水島新司の漫画「球道くん」になぞらえ「球けがれなく星になれ」との思いが込められている。野球一家で育ち、野球に対して真面目に取り組んできた希望の星が、甲府工に白星をもたらした。【戸田月菜】

 ◆風間球星(かざま・きゅうせい)2000年(平12)9月30日、山梨県甲州市生まれ。2歳年上の兄球道(きゅうどう)さんの影響で、小3から奥野田スポーツ少年団で野球を始める。基本は捕手だが外野手も。家族は父啓介さん、母今日子さん、兄球道さん、弟球打(きゅうた)さん、球志郎(きゅうしろう)さん。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。