空知、名寄、釧根の3地区で代表決定戦が行われ、空知は滝川西が延長10回9-7で深川西を下し、甲子園に出場した昨夏以来4季ぶり道大会出場を決めた。9回に追い付かれるも、10回2死満塁で、1年生の工藤拓真右翼手が決勝の満塁本塁打を放ち、勝利に導いた。

値千金の公式戦初本塁打となった。工藤は5-5に追い付かれた9回2死から2番手で登板。制球が定まらず打者1人に四球を与え降板していた。直後の1発に「しっかり切り替えて打席に入れたのが良かった。チームに貢献できてうれしい」。一塁を回った時点で本塁打と分かったが、チームのモットー「全力疾走」を体現し、猛ダッシュで本塁へ駆け込んだ。

今春入学時は170センチ、83キロのぽっちゃり体形だった。中学まで投手も、高校で外野手に挑戦し、守備のミスを重ねた。周りの先輩に「ちょっと太り過ぎじゃないのか」と指摘され、自主的に走り込みをするようになった。6月までに3キロ減量に成功し「確実に体の切れが上がって、打球の伸びも変わった」と効果を口にした。

滝川江陵中3年の昨夏、甲子園で滝川西の試合を観戦。大量リードを許しても全力疾走する姿勢に感動し「滝西で野球をやりたい」と進学を決めた。8月最後の練習試合には、その夏甲子園で選手宣誓を務めた堀田将人元主将(19=北海道ガス)が訪れ「流れが悪いときこそしっかり声を出せ」と指南、チーム全体にスイッチが入った。あこがれの先輩の激励を受け、つかんだ全道切符。次は94年以来25年ぶりのセンバツ切符を取りに行く。【永野高輔】